序章
2年5組には、ごく一部の人間を除いて、ほとんど人の寄り付かない席が1つだけある。
別に十年前に首吊り自殺した女生徒の呪いがかかってるとか、そこに座ると好きな子にフラれるというジンクスがあるとか、そんなわけじゃない。
むしろ窓際の一番後ろという最高の位置で。
授業中にお菓子は食べれるわ、メールはできるわ、春には桜が、秋には紅葉が見える至れり尽くせり、私だってこのクラスの生徒じゃなかったら絶対に狙っていたと思う。
そんな素晴らしい席に、クラスメイトはおろか、先生まで近づく事のない理由は、本当にたった一つ。
そこが、うちの高校で最強と謳われる不良、伊達政宗君の席だったからだ。
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