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8 伊達君の秘密




すたすたと歩いていく伊達君は、両手をズボンのポケットにつっこんで歩いているにも関わらず、傍から見て気だるげな雰囲気を見せない。むしろ、男らしくてカッケー感じだ(どんな感じだって突っ込みはなしね!)。





act.8 伊達君の秘密





後ろから、背の高い伊達君を見上げながらものっそい早足で(というよりもうこれ軽くダッシュだよ)(き、キツイ…!)ついていっていたら、突然伊達君が立ち止まったもんだから、対応し切れなくて伊達君の、学ランで黒い背中に顔からズガンと突撃してしまった(わわわたしなにやってんだこら!)。



「…何してんだお前」

「す、すいませんホントすいません前方不注意でした」



呆れた様子の伊達君に、あなたが突然立ち止まったからでしょうが!!なんて言えるはずもなくて、ジンジン熱を持つ鼻を手で押さえて90度腰をおって頭を下げる。



「…別にいいけどな。…ついたぜ」



気にしてないみたいで、言われてほっとして顔を上げた。


だけど、ここは屋上なんかじゃなくて、校舎から離れた一つの建物の前だった。


横に広い、一階建ての和風の、屋敷?って言ったほうがいいのか、とにかくすごい建物。ここから見る限り、枯山水、だっけ、それのある豪華な庭が見える。

そういえば、階段を下りた記憶はあるけど、上がっていった記憶がない。気づかないなんて、どんだけ私伊達君凝視してたんだ!つかよくコケなかったよ私!ミラクル!



この建物は一応うちの学校の敷地内にあるもので、学校のものだ。だけど、そこはいつも関係者立ち入り禁止!って張り紙がしてあって、一般の生徒や教師までもが立ち入り禁止になっている、世に言う開かずの間的な建物なのだ。(ワオ!じゃあ建てるなってね!)なんと、入ってる所を見られたら即退学なんてことになるという。(ワオ!じゃあ建てるなってね!)(あれ、これ二回目?)



何でこんな場所に伊達君が私を連れてくるんだろ?とか不思議に思って伊達君を見上げたら、彼は不敵に笑って、言った。



「ここが俺の根城だ。明日から織、昼休みと放課後はここに来いよ、俺が呼び出したときもな」

「……ほ?」



ほってなんだ私、とか思ったけど、でもそれほど衝撃的。

え、なに?この豪勢な開かずの間的な建物が、根城?伊達君の根城?え、根城?根城なの!?(ああここにかすががいたらしつこいって言われるんだろうな!)



驚愕の事実に固まってたら、伊達君はそんな私に笑ってから、すたすたと屋敷の敷地内に歩いていってしまった。

迷っちゃまずい、っていうかここを根城にしてるという伊達君と一緒ならともかく一人で入ってるとこ見られたら退学にされてしまう。また例の軽くダッシュでついていけば、伊達君はためらいなく縁側のところから靴を脱いで(ちゃんと綺麗に脱いでる)(実は完璧主義かい伊達君!)、長い廊下を歩いて、奥にあった扉を開けて中に入っていってしまった。


何で和風の家に、洋風っぽい扉があるんだろ?とか疑問をもちながら伊達君についていって(ちゃんと靴もそろえました)部屋に入れば、そこは広くてきれいな洋風な部屋。

部屋には二つの向かい合わせに置かれた豪華なソファ。奥には大きなこれまた豪華そうな黒いデスク。社長室におかれてそう、なんて例えしかできない私にちょっと空しくなった。(……)


そして、その豪華な机にどっかりと座った伊達君。その違和感のなさに驚いた。

びっくりした私の顔を見たからか、伊達君がゆっくりと口を開いた。なんか溜め具合がこれまた社長っぽい。



「改めて自己紹介するか。…俺は伊達政宗」

「はあ(知ってます。超知ってます)」

「この屋敷の主で、この学校を裏から統括してる」

「はあ(……ん?)」

「部下からは、何故かは知らねぇが【筆頭】とか呼ばれてる。…よろしくな、雪嶋織」






伊達君は、社長じゃなかった。



ひっとう、だった。



(ヒットー、hit?)(ち、ちがうか)






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