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土方/適度な休息は大切だ※



土方が指揮を執り、自らも不眠不休で一ヶ月追跡し続けた攘夷浪士をようやく捕らえる事が出来たのは三日前。
それから筆舌に尽くしがたい拷問にかけ、ようやく口を割ることに成功したのが今朝。
ふらふらになりながら部屋に戻った土方は零を呼び、捜査に使用した資料や調書を纏め上げるように指示をだしていた。

時刻はまもなく午前二時を迎える。
急ぎで提出して欲しいという警察庁からの要請により、提出期限はあと六時間後に迫っていた。
男が率いていた組織の解体図と、構成員の身元の確認、そして名簿の作成。
桂率いる攘夷党との絡みもあり、押収した武器の中には爆弾があった。
それがこれまで起きたテロと関連しているかなど調べる必要もあるらしく、過去の捜査資料を広げて頭を抱える零がうんうんと先ほどから唸っている。

零は適度に休憩をとりながら進めているが、土方といえばやつれきっている。
約一ヶ月も最前線で張り込みを続けた土方は、まともに睡眠も食事もとれていない。
今晩も夕食を口にせず、ひたすら煙草をくわえて紙の山と向き合っていた。
机を二つ並べ、隣あって座っている零がふと顔を上げる。


「ふー……。ここまでやっといてアレなんですけど、これって俺たちの仕事なんですか?もう上に任せましょうよ……ふあっ……眠ィ……」
「うるっせェ、手を動かせ手を。ここまで来たら全部やらねえと気がすまねえ……一ケ月どれだけ苦労したと思ってんだ、最後の最後でめちゃくちゃにされたら腹がたつだろうが」
「……はぁ……それもそうですけど……はい、これあと土方さんの判で終わります。そっちの束貰います、その資料は俺のところにあるんで」
「おう、ありがとな……お前だと捗る」
「一応土方副長の補佐ですからねえ……あ、土方さん、ここ誤字。ちょっと仮眠したらどうですか?起こしますよ」
「あてにならねえ」
「ひでえな!?」
「お前は休憩していいぞ、このペースなら余裕だ」
「ん゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーー!!つれェよおおおーーーーー!!」
「!?」


土方のその言葉を待ってましたとばかりに零は勢いよく後ろに倒れ、尻に敷いていた座布団を抱きしめてごろごろと畳を転がる。
暴れる零の膝ががつがつと机に当たって鬱陶しい土方が、バシンと勢いよく尻をたたき上げた。
すると座布団に顔を埋めながらうつぶせで静かになった零が、ぼそぼそと風呂に入りたいだの、眠いだの、文句をたれているのが耳に届く。


「お疲れさん、おやすみ」
「冷てェーーー!」


ひたすら筆を走らす土方にじゃれるように、零は胡坐の上にずるずると身体を移動させて狭い空間に身体をねじこんだ。
またもや邪魔をされた土方が、くわえていた煙草を乱雑に灰皿へ押しつぶし、空いた左手で軽く頭を小突いてやる。


「邪魔すんな」
「してないしてない」
「してんだろうが……じっとしてろ」
「ここで休憩してるんで、土方さんは続き頑張って下さ〜い」
「はいはいガンバリマスヨー」


土方の身体にしがみつく零の頭がすりすりと動くたび、土方の股間にもどかしい刺激が走って、正直なところ仕事どころではない。
あまり意識をしないように書類にむかうが、わざとなのか無意識なのか、零は執拗にもぞもぞと動き続ける。
組まれた脚の上で落ち着ける場所を探しているのだろうが、頼むから動かないでくれと宥めるように、土方の左手が零の頭を撫でてあやす。
気持ちよさそうにその手に甘える様子は犬か猫のようで、土方の表情は思わず緩んだ。


「きんたま……」
「……あ゛?」
「土方さんのきんたまくらサイコゥオオオイタタタタタタ痛ーーーッ!!!??痛い痛い!!すみませんすみませんすみません」


ほぼ無意識に口からでた零の本音に、土方は黙って頬をつねりあげた。


「出て行くか?」
「朝までおともさせてください……」
「おう、それじゃああと五分で仕事に戻れ」
「ご……!?わかりました、五分で七時間睡眠と同等の休息をとってみます。五分後の俺はもう別人ですよ。そこにある山なんてものの十五分で片付けてやりますから。ビビらせてやりますから」
「うるせえ。あと四分」
「よん!!?ちょっと待ってください、この部屋の時計合ってますか?二十秒くらいずれてませんか?絶対ずれてる!いいですか土方さん、社会人たるもの時間の管理はきっちりしないとダメですよ。時計の針はきちんと合わせてください!その数十秒に泣く日が」
「三分」
「はあああ!?さささささ三分!?最悪なんですけど!?もう俺に話しかけないで下さい!!土方さんのせいで休めねえ!!」
「なんなんだよオメーはよォオオ!!?わかった!!ああ、わかった!気が済むまで休んでいいから喋るな!!」
「はい!おやすみなさい!!」


あれだけ大騒ぎしていた零が、シン、と突然、静かになった。
組んだ脚を枕にしている零が腹に顔を向けているので、見下ろすと顔がよく見える。
本当にここで寝るつもりなのか、それとももう寝たのか、穏やかに目蓋をとじていた。
その顔を見ながら、土方は箱から一本煙草を取り出して火をつける。
細く吐いた煙が消えると、再び筆を走らせた。

かちかちと時計の針が音をたてる。
刻々と時間が過ぎて朝に近づいているが、いい加減にうんざりしてきた。
身辺調査の為の尾行と、ただただ自由を奪われる張り込み、ようやく逮捕したかと思えば次は屯所で延々と事務作業。
零の言う通り、少し仕事を請け負い過ぎているのではないだろうか。
“警察庁に渡せばいい”というよりも、各隊の隊長に分担させれば半分以下の時間で終わるに違いない。
いや、そうはいかないか、と、土方は頭を掻く。
隊士たちのほとんどは“現場向き”で、事務など出来ない者がほとんどだ。
なので、結局“キレ者”とされる土方と、一応寺子屋を出て教養のある補佐の零がそういった仕事を受けたほうが効率がいい。
“またか”と文句をたれつつ、毎度毎度締め切りをきっちり守って提出するあたりの責任感は、さすが幹部と言うべきか。

すっかり眠ってしまった零を脚にのせながらせっせと書類を完成させていると、ようやく終わりが見えてきた。
これなら零を起こさずとも、あと一時間ほどで片がつく……、はずだ。
そうすれば仮眠をとって、ゆっくり風呂に浸かる時間だってある。
よかったとホッとした土方は、何気なくすぐ下にある零の頭を撫でた。
朝、綺麗にセットされていた髪はすっかりボロボロになっていて、ぴょこぴょこ跳ねている毛が妙にかわいらしく見える。


「ん」


くすぐったいのか零が身体をくねらせ、土方の身体に顔をぐりぐりと摺り寄せた。
ぎゅうっとしがみついてくる零の顔がおもいっきり腹にめりこんでいて、きちんと息が出来ているのか少々不安になる。


「お前、俺の脚なんかでよく眠れんなァ……」


なんとなくまじまじと足先まで視線を流して見ると、窮屈だと言って上着を脱いで、ベストもスカーフも取っ払ったシャツ一枚の姿が、適度に引き締まった細身の身体のラインを際立たせていることに気がついた。
女のような曲線ではないのに、何故自然と手が伸びてしまったのかわからない。
土方の左手は零の腰をさすり、脚のラインを緩やかに滑って尻まで伸びた。

無意識だった。

灰皿の上ですっかり短くなっていた煙草を押しつぶすと、その右手は零の髪をいじる。
左手はいつまでも太腿を撫でていて、時々握るようにして肉の感触を楽しんでいるようだった。
偶然か否か、零の眉が少し動く。
それに驚いた土方が我にかえり、咄嗟に両手を挙げて硬直した。


(お、俺は何を……!!)


疲労とストレスで頭がおかしくなったのだろうか。
零の身体を撫でた左手に、柔らかな肉の感触と熱が強烈に残っていて、股間にゆるゆると熱が集まっていく。


(オイオイ、相手は零だぞ……いや、零だからか……)


まじまじと零の顔を見下ろすと、どうやら起きてはないらしく寝息が聞こえる。
人の気も知らないでよくも安心しきった顔で眠れるな、と思うが、ナニかあると疑って警戒するほうがおかしい関係だ。
零は何も悪くない。
悪いのは、自制できない自分だと土方がうな垂れる。

しかし、しかしだ。
ここだけの話し、零とは一度、衆道の関係を結ぶか真剣に話し合いをしたことがある。
当時、零がまだ十四歳ということもあり、結局今すぐにじゃなくていいと話を先延ばしにして、うやむやになったままその話しは終わったが。


「零」


零のことを意識すればするほど血が集まり、心臓がばくばくと動く。
土方に男色の気は無いが、相手が零なら別だ。
もっと触りたい、もっと触って欲しい、そんな欲がいくらでも湧いて出てくる。


「もう触らないんですか?」
「……!……っ……クソ、煽んな……」


耳まで真っ赤にしているクセに、大胆不敵ににやりと笑いながら土方を見上げる零の顔が、妙に艶かしくて加虐心を煽る。
ゆっくり起き上がった零の腕が土方の首に絡み、土方の両手は零の身体を支えるように腰にそえられた。
零の方から顔が近づけられると、土方は零の腰を引き寄せて、身体がより密着するよう促していく。


「普段なら嫌がるくせに、積極的ですね」
「それはお前が場所を考えねーからだ」
「は?夜這いに行っても無反応でしょうが。てっきり機能不全かと思ってましたよ」
「誰が機能不全だ、ブン殴るぞ」
「まァ確かに、不全ではなかったですねぇ〜?」
「オイ!」


零の右手がそっと土方の股間に伸ばされ、硬さを増していく竿を優しく撫でる。
同じ男だからこそわかる丁度いい加減で刺激を与えられ、されるがままでは気のすまない土方が零の首筋に噛み付いた。
痕を残さないようにあまり力をいれないようにしたいところだが、仕返しをしてやれと悪魔が囁く。
おもいきり噛みつき、吸いつき、舌先で舐めて、力の抜けていく零の身体を支えながらゆっくり畳に組み敷く。
身体に覆いかぶさるようになった土方がわざと股間をぐりぐりと押し付けて不敵に笑うと、突然零は自らの手で顔を覆い隠した。


「はぁ〜〜〜っ!!」
「な、なんだ!?」
「土方さんかっこいい……そうやって何人手篭めにしてきたんですか?色男!スケコマシ!巨根!ヤリチン!!クッソ〜〜!!」
「褒めるかけなすかどっちかにしてくんねえか!?」
「このヤリチンがッ!!」
「けなすのかよ!!?」
「ヤリチンでも好きです……」
「ヤリチンじゃねぇッ」


抵抗もせずただ顔を隠すだけの零に、土方は腰を動かしてわざと零のものにも刺激を与えていく。
しばらく欲を散していない土方の身体は、全身で目の前の男の身体を求めている。
溜まりに溜まった欲を、零にぶつけたい、零がいい、零にしてほしい。

限界だ。

スカーフを投げて、勢いよくベストを脱ぐ土方の姿を指の隙間から真っ赤な顔で覗いていた零に気づいた土方が、零のシャツのボタンを外していく。
生まれつき肌の色が人より白いという零の身体には、戦いで負った消えない傷跡がいくつもある。
この傷ひとつひとつが零の生きた証で、勝利の勲章だ。
女の身体じゃあるまいし、傷だらけの身体を見て“勿体無い”などとは思わない。
土方は順番に吸い付いて、零の反応を窺っていく。


「うぅ、くすっぐったいんですけど」
「わざとだ」
「う!?んん!!?」


どさくさに紛れて胸の飾りを舐めれば、面白いくらいに身体が跳ねた。
零は再び顔を隠して悶えていて、素直な反応に土方は気を良くしていく。

首に吸い付きながら零のベルトに手をかけ、緩める。
ズボンに手をかけて下着ごとずり下げてやろうかと手を伸ばしたところで、零が慌てて腕を掴んだ。
まさか阻止されると思っていなかった土方は零と顔を見合わせ、悪い、と呟く。
さすがに勢いのままやりすぎたかとしぼみかけた下半身に、突然電撃のような痺れる刺激が走った。
零の手が、布の上から再び刺激を与えてきている。


「俺、負けず嫌いなんですよね」


言葉の通り、形勢は逆転。
今度は零が土方の脚の間に割って入り、手荒に土方の腰からベルトを引き抜いた。
一体どうなるんだという期待を抱きながら零をじっと眺めていると、震えながらズボンに手をかけてゆっくりずり下げていく。


「無理すんな」
「……!?してない!!」


それならいいんだと土方がくすくすと笑うと、負けず嫌いな性格に更に火がついたらしく、土方の下着の中に手を入れた零が竿を取り出して、土方に見せ付けるように舌先で鈴口をつつく。
風呂の時に見るものとは違い、硬くいきり勃つそれを握るのは羞恥でどうにかなりそうだった。
だがもうここまで来たらどうにでもなれ。
二人とも疲れがピークで、まともな思考回路でこの先の展開を考えていない。

零がぱくりと口にくわえ、大きすぎるそれを懸命に咽の奥まで詰め込む。
濡れた唇から出し入れされる自分のものを見て、土方の口角は無意識に上がった。
上手いか下手かなんて関係ない。
零が口にそれを含んでいる事実が、ただそれだけが、興奮を煽る。


「……零ッ」
「はぁ、ッ、すげっ……でっかい……ッ」


女と、もちろん男とも経験の無い零が、“土方さんのものだから”とたどたどしく口淫する姿は本当に――、


(たまんねェ……!)


股に顔を埋めて懸命に舐め上げている零の顔に、汗で髪がはりつく。
しっとりと高潮している白い肌から放たれる色香は、きっと零にしか出せないものだと思うと、この先一生誰のものにもならないで欲しいと醜い独占欲がわいてしまう。

零の手が土方のものを扱きながら、愛しそうに鈴口に吸い付いて、わざとちゅぅ、と音を立てる。
卑猥な水音が部屋にこだまして、頭がくらくらする。
このままでは零に好きにされて終わってしまう。
そうはさせてたまるかと、零が再び竿を咥えこもうとしたところを見計らい、土方は膝立ちになって腰を打ちつけた。
突然の動きに零は涙目で目を見開き、咽奥をつく気持ち悪さに思わずえずいたが、土方は零の頭を手で固定し奥へ奥へと容赦なく突く。
口の端から涎をたらし、涙まで流して苦しんでいるというのに、だんだんと目が蕩けている零の目を見て、つくづく愛されていると実感した。

悪いと思ったが口の中で射精し、すぐに竿を引き抜くと、零は慌てて口を手で塞いだ。
まさかと思った土方が早く出せ!と、自らの両手で椀を作り吐くことを進めるが、零は首を横に振ってゆっくり飲み込んでしまった。


「飲んじゃった……」
「お、おう……すまん……」
「いや、なんか勿体無いと思って……ていうかめちゃくちゃ溜まってました?それとも早漏?ニコチン控えたほうがいいですよ」


零は机の上に置いていたティッシュの箱を持って、膝をたてて座り込んだ土方に近づく。
ズボンや下着が汚れないように涎や精液まみれの竿を拭こうと覗き込むと、我が目を疑う光景があった。


「ニコチン中毒でコレなら文句はねえだろ」


一度射精したにもかかわらず、まだ勃ちあがったままのそれを見た零が言葉をなくす。
目をまん丸にして凝視していると、土方は零を抱えるように抱きしめて、再び畳へと身体を転がした。


「零、いいか?」
「え……え!?マジ!?疲れすぎておかしくなってません!?」
「正気だ。抱きたい」
「はぁーーーー!?なに!?なんですか今の!?録音したいんですけど!?屯所……いや、江戸中に今の言葉聞かせたい!も〜〜!こんなことになるなら事前に準備してたのに!!」
「声がでけぇ!」
「はっ!すみません……あの、ひとつ質問なんですけど」
「ん?」
「当然の如く俺が下になってますけど、俺が女役なんですか?」
「不満か?」
「いや、その、あ、あわよくば俺が上に、的な……」
「んー……ねーな」
「ですよね〜ッ!?」
「一度でも女を抱いたら考えてやるよ」
「ちくしょう……それっていつだよ……絶対いつか土方さんを抱いてやる……」


はいはいもうわかったとばかりに、土方が零の唇をついばむように優しく噛む。
先ほどは阻止されたが、今回はすんなりとズボンも下着もずり下ろすことができ、直接零のものを触ることが叶った。
土方と違って一度も欲を吐いていないそれは、若さもあってか腹につきそうな勢いで反り返っている。
鈴口からは先走りの液がてらてらと溢れ、先を艶かしく濡らしていた。
その水分を利用し、指の腹でぐりぐりと先端を刺激すると、零は土方の身体に腕や脚を絡め必死にしがみつく。
なるほどこれがいいのか、と、土方は手を緩めることなく全体を扱き、そして何度も執拗に先端を攻め上げた。


「マゾか?」
「ちっ、が……!」
「はは。いいんだぜ、嫌いじゃねえ」
「うぅッ……!とうしろが、っ、絶倫だって言いふらしてやるからな……っ」
「へいへい、そりゃこえーわ」
「い゛ッ!?痛いって……!」
「悪い、余裕がねェ。本気でやばかったら蹴り飛ばしてくれ」
(蹴り飛ばすなんて出来るわけないだろ……!)


濡れた土方の指先が、遠慮もなく孔へと侵入していく。
もちろんそんなところに何かをいれた経験などない零は鈍い痛みに震え、土方にしがみつくことによって堪えようとしていた。
普段は“出口”として機能しているそこが、指よりもっと太いものをこれから咥えこもうとしているなんて、快感より恐怖が勝るに決まっている。
きっと酷い顔をしていると思った零が、土方に絡めた腕を解いて顔を隠した。
それが気に入らない土方は、中に入れたままの中指をゆっくり動かして反応を窺っていく。
イイところを掠めることができれば、なりふりかまわず再びしがみついてくれると思うのだが。


(……わかんねぇな、どの辺りだ……?)


かきまぜるように指を動かし、奥や浅いところを探るように動かしていく。
すると、声を我慢している零が、小さく喘いだ。


「ここか、零?」
「ひっ!」
「ここだな?」
「ッ……!」


びくびくと震える零は、再び土方の身体にしがみついて快感から逃げようと力をこめる。
零の反応を嬉しく思い、前立腺の辺りを何度も何度もしつこく刺激して、許可も得ず指を二本に増やした。
長い指がバラバラに動いて中を犯すたびに“痛い”と口にするが、表情は快楽を感じているように見える。
からかうつもりでわざと水音が響くように動かすと、耳まで真っ赤にした涙目の零に睨まれた。

このままでは機嫌を損ねてしまうと思い、口吸いで誤魔化して舌を絡める。
逃げる舌を追いかけながら、指はしっかり中を犯し続けていた。
バラバラに動かしていた二本の指を揃え、零がイイとよがった場所をぐっと力を入れて押しつぶすように撫でてやる。


「んぅッ!?だめだめだめ……!!そこ、だめっ!!」


無我夢中でといった感じで身体にしがみついてくる零から察するに、とてつもなくイイのだろうと、土方は意地悪く微笑む。
素早く動かされる指から逃げようと身をよじるが逃げられるはずもなく、無意識に土方の背に爪を立ててしまうほど切羽詰っていた。
快楽に殺される、死んでしまう、そんなことが頭によぎった時、白濁が零の腹を汚した。
わけがわからなくなって泣いてしまった零を見下ろす土方が、ゆっくりと指を引き抜いていく。

汗やら涎やら涙やらでぐちゃぐちゃになった零の顔を優しく撫でると、土方は零のシャツを剥いで、自らも一糸まとわぬ姿となった。
零の眼前には鍛えられた土方の裸体があって、嫌でも股間に目が行く。


「零」
「は、はいぃ!?」
「セックスすんぞ」


零は気絶しそうだった。
もうどうにでもしてくれ、好きにしてくれと思った。
激務万歳、睡眠不足万歳、こんなおいしい展開が待ってるなら仕事なんていくらでもしてやるとも思った。

零がさきほど腹へ吐いた精液を指ですくい、その手で自身のものを扱く土方。
ないよりはマシだろうと全体を濡らし、特に湿った先端で孔にツンと触れる。
零の竿が再びゆるゆると勃ちはじめると、土方はわざと零の顔を覗きこんでにやりと笑った。


「若ェな」


みち、と、狭い孔を押し広げるようにしてゆっくり腰を動かしただけだが、既に腰が抜けそうなくらい気持ちがいい。
たったの指二本で広げた孔は本当に狭くて、これ以上入りそうにないと思うのだが、初めてとは思えないほどひくひくと吸い付いてくる肉に、もっと入れてみたいという好奇心が勝る。


「土方さんんんーー!入ったァ……!?」
「先だけな」
「嘘!?まだ先だけ!?」
「狭ェんだよ、力抜け」
「ひ、ひ、ふぅー!ひ、ひ、ふー!」
「何を生む気だ」


徐々に中に入っているが、あまりにもきつい。
しょうがないとはいえ、このままでは食いちぎられそうだ。
やはり指二本だけでは足りなかったかと思うが、身体はもうやる気満々だし、絶対に零の身体を使ってイきたい。
土方がめらめらと妙な闘争心を燃やしていることには気づいていないのか、零は深呼吸をして、できるだけ脱力しようと努力していた。
挿入する側も辛いだろうが、挿入される側の方がきっと辛い。
明日からも元気に尻を使う為に、なんとか大怪我は避けなければ。


「じれってぇ……!」
「いッたァ!?あッ!!あぁ、痛い痛い!!トシ、いッ……!ひっ、いっ!しぬっ……!!」
「はっ、ぁ、死ぬかよ……ッ!」


中々前進しないもどかしさに、土方は痺れを切らして勢いよく腰を打ち付けていく。

肉と肉がぶつかる音と、荒い息遣いが部屋に充満する。
一気に奥まで挿入されたことにより、当たり前だが孔からは血が流れ、あまりの激痛に零が土方の肩に噛みついた。

衝撃で舌を噛みそうだった、本当に死にそうだった。
驚きと痛みでぼろぼろ泣きながら肩を噛む零を抱きしめながら、土方は獣のようにがつがつと腰を動かす。

正直、狭すぎて快楽を感じているどころではないが、零を犯しているということに心が満たされひどく興奮していた。
最奥ばかりを執拗に攻めて、先ほど指で零がよがった場所を探っていく。
ゆっくりと奥ばかりを突くことによって土方の形がよくわかるようで、わずかだが萎えた零のものが勃ちあがりはじめていた。


「ハァっ、零、勃ってきたな」
「はっ、あ、いいです、言わなくてぇ……っ」
「嬉しいってことだ……」


挿入した直後よりも僅かだが締め付けはマシになってきており、少なからず零も快感を得ているのだと土方は安心した。
それならもう遠慮はいらないかと、腰を掴み再び奥ばかりを狙って腰を振る。
元より遠慮はなかったが、もう微塵も遠慮をするという良心は残っていない。
腹を突き上げるように微妙に角度を変えて動いていると、明らかに零のよがり方が変わった。
土方の腰にまわされた零の脚にぐっと力が入り、まるでもっと奥を突いてくれと言わんばかりにぐいぐい腰を引き寄せてくる。


「奥か?」
「ん、うん……!奥ッ……!」


それならお望み通りに。
貪るように唇を合わせながら奥を突き上げ、痛みも快楽もぐちゃぐちゃにかき混ぜてやる。
汗ばんだ肌がぶつかり合い、淫らに、そしてはしたなく抱き合う男二人の姿はきっと滑稽だ。


「あぁッ!いっ、はぁっ、!はぁ、でっか、むり、むりぃ……!」
「無理?気持ちイイって顔してるけどな……ッ」
「うん!うん、ぅ、さわって、まえ、まえもっ」
「う、零……ッ!」


前を触って欲しいという言葉で、危うく射精しそうになった。

扱きながら腰を動かすと零は女のようによがりだし、熟れた肉壁がぎゅうぎゅうと土方のものをしめつける。
避妊具をしていない為ダイレクトに中の温かさを感じ、腰が砕けそうなほど気持ちがいい。
歯を食いしばりながら動いていると、ぶる、と零の身体が震えた。


「はぁ……は……っ、イきそうか?」


こくこくと零が頷く、そんな素直な反応がとても愛しくて苦しい。
このまま抱き潰して骨抜きにしてしまいたい。
頭の中が真っ白になるほど夢中で腰を揺らし、息が出来ないほど深く深く唇を合わせる。
土方だってもう限界だった。

がくがくと震えた零が射精し、土方の手を汚した。
それとほぼ同時に土方が腰を引こうとすると、零の脚が強く絡みつきそれを阻止した。


「おま……ッ!!っはぁ、っ、……!」


謀らずも中で射精してしまい、一気に力が抜けていく。
土方は零の身体の上に乗りかかる形で脱力し、後処理が大変だぞと呟いた。


「はぁ……、はぁ……、だって、勿体無いじゃないですか……」
「あのなあ……」


処理をさぼり、腹を壊すのが目に見えている。
だるい身体を起こした土方はゆっくりと零の中から竿を引き抜いて、孔から垂れる血の混じった精液を見てため息をついた。


「土方さん……、淡白なのかと思ったら意外に激しくて……ちんこでかいし……、そりゃ女が寄ってくるよな……すごかった……ちんこでかいし……」
「虚空を見つめながら何言ってんだ」
「あの、俺、色々初めてで至らない点が多かったと思うんで、改善点を書類に纏めて提出していただいていいですか……」
「向上心の鬼かよ」


動けない零に代わってティッシュで軽く身体を拭いてやっている土方の手を、零が掴む。


「俺も、綺麗にしてあげますね」
「は……?ちょ、ばっ!!触んな!」


本当に怖い話なのだが、この後なんやかんやで再び盛り上がってしまい、三回戦に突入した。
双方とも非常にすっきりした顔で三回戦を終えた頃にはもう朝の五時で、少し仮眠するつもりで目蓋を閉じて一時間後。
土方はいつも六時に起床し、決まって白湯を飲んで煙草を吸う。
そんな日課を今日も行うものだと思っている小姓の鉄之助が、白湯を持って部屋にやって来た。


「副長〜!おはようございま……」


障子を開けていきなり目に入ったのは、部屋の真ん中で裸で抱き合う土方十四郎副長と北村零副長補佐。
そこら中に丸めたティッシュが散らばっていて、机の上には書類が散乱。
一体どんな事件現場かと思うほど意味がわからない光景に、鉄之助はぱちぱちと瞬きをしてゆっくり障子を閉めた。


(白湯じゃなくて赤飯!!白湯じゃなくて赤飯!!)


何故か嬉しそうに食堂に駆けていく鉄之助の足音に、土方が目を覚ます。
誰かの気配を感じた気がするが、よくわからない。
時計を見てなんとなく嫌な予感はしたが、考えるのもめんどくさかった。

さて、だらだらしている時間は無い。
下着を履いて煙草をくわえ、まだ甘い空気の残る部屋で、紫煙を漂わせながら机にむかった。




*



「なんで赤飯なんでィ、白飯食わせろや」


余談だが、その日の昼食の献立は急遽赤飯に切り替えられたとか。






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