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はじめて (ジョルブチャ)

「まだ飲むのか?」

二本目のワインの瓶を開けると、ブチャラティは怪訝な顔をしてそう言った。
一本目のワインをほとんど僕が飲んでしまったこともあり、僕のことを心配しているのだろう。
でも僕は、正直それどころではなかった。

「大丈夫です」

そう答える声も、緊張で震えないようにするので精いっぱいだ。
今日、僕にはひとつの目的があった。
先日当たって砕けろな勢いで告白をして、「俺もだ」という返事をくれたこの人を、ベッドに誘うこと。
それが今日の目的であり、僕が大して飲みたくもないワインを飲み続けている理由だった。
最初は、他愛もない話をして、それとなく誘うつもりだった。
でも、いざ言おうとすると、緊張して声が出ない。
喉がカラカラに乾いて、グラスのワインを飲みほす。
そんなことを繰り返しているうちに、僕はワインを一本あけてしまった。

「・・・飲みすぎだ。これだって、ほとんどお前が飲んだだろ」

これ、と言ってブチャラティは空になったワインの瓶を摘み上げる。
揺らすと、僅かに残っている液体が音を立てた。

「・・・大丈夫です。僕、お酒強いですから」

それは本当で、現に今だってアルコール度数の高いワインをほとんど一本飲んだけれど、僕はほろ酔い程度で意識はしっかりしている。
だからこそ、言えない言葉に苦しんでいるのだけれど。

「それは知ってる。まったく、15とは思えない酒豪だな」

ブチャラティは呆れたように溜息をつく。
僕は何も言わず、自分とブチャラティのグラスにワインを注ぐ。それをまた飲みほした。
少しでも酔えば、言いやすいと思った。
けれど、どんなに声に出そうとしても、喉につかえて言葉にならない。
僕は(二本目で)二杯目のワインに口をつけた。

「・・・・・・」

ブチャラティは頬杖をついて、ただ僕を見つめている。
ワインに口もつけず、ただ無言で僕を見ている。
何だか居心地が悪くて、少し身動ぎした。
するとブチャラティが、ふ、と笑った。

「・・・なんです」

僕がそう言うと、ブチャラティは苦笑いを浮かべながら「仕方ないな」と言って席を立った。
僕がきょとんとしていると、ブチャラティはワインを持つ僕の手を押さえ、顔が近づき、
ちゅ、と
小さく音がした。

「・・・・・・え?」

僕が茫然としていると、ブチャラティは眉間に僅かに皺を寄せたまま、にぃ、と笑った。

「もう、飲まなくていい」

「・・・・え?」

僕が再びそう声を出すと、ブチャラティが僕の手を引いて歩きだした。

「え・・ちょ、ブチャラティ・・っ!?」

「なんだ?」

ブチャラティは歩みを止めず、振り返りもせず返事をする。
僕はあからさまに混乱していた。

「ど、どういう・・・こと、ですか・・っ」

どもりながら、言うのとほぼ同時にベッドに押し倒される。
僕が驚きに目を見開くと、ブチャラティの顔がすぐ近くにあった。

「どうって、こういうことだろ?」

ブチャラティはにやりと笑うでもなく、かといって呆れるでもなく、ほとんど表情のない顔でそう言った。

「もういい加減、見てられないだろ。あれ以上飲んだら、体に悪い」

はあ、と大きくため息をつきながらブチャラティは言うけれど、それはつまり。

「・・・わかって、たんですか?その」

僕がそういうつもりだったのを。
そう言う前に、ブチャラティはにぃ、と笑って、

「ああ」

と楽しそうに返事をした。
僕は、今までガチガチに緊張していたのが急に馬鹿らしく思えて、体を起してブチャラティにキスをした。

「ん・・」

ベッドに手をつき、ブチャラティの肩を掴んで体制を反対にする。
広がったブチャラティの髪を一束手に取り、口付けた。
視線を感じて顔をあげると、ブチャラティが呆れたような顔で僕を見ていた。

「・・・なんです?」

「・・髪なんかにキスして、たのしいか?」

僕は少し笑って、

「楽しいですよ」

と答えた。
顔を近づけて、ブチャラティの頬や額にキスをする。
ブチャラティは目を開けているけど、触れる瞬間だけぎゅ、と目を瞑る仕草がかわいい。
鼻にちゅ、とキスを落として、顔を離す。

「髪だけじゃなくて、あなたにキスをするのは楽しいです」

ブチャラティの手のひらに口付けて、ふ、と笑いながらそう言った。
ブチャラティは少し目を細めると、急に顔を近づけた。
頬に口付けて、にぃと笑った。

「・・確かにな」

ブチャラティは今まで僕がしていたように、頬や額、瞼など、顔中にキスをする。

「・・ちょっと、・・ブチャラティ・・・」

「でも」

そう言って、ブチャラティは僕の唇に触れた。
一度唇を離すと、ぽかんとしている僕に向かって楽しそうに笑った。

「・・やっぱり、ここにキスするのが一番すきだ」

そう言うと、ブチャラティは再び僕に深く口付けた。

「・・・っ、ふ・・・は、っ」

「・・ジョ、ルノ・・・ん・・」

一度口を離すと、お互いの荒い息が部屋に響いた。
僕は顔を上げ、「僕もです」と告げる。

「・・・、・・?」

「僕も、ここにキスするのが一番すきです」

そう言って、顔を近づけた。
するとブチャラティは、どうしてか僕の顔をふい、と避ける。
僕は一瞬呆気にとられたが、むっとしてブチャラティを少し睨む。
ブチャラティはくく、とおかしそうに笑った。
そして優しげに微笑むと、

「焦るなよ。ゆっくりやっていい」

と言って、自分から口付けた。
ブチャラティの行動や言葉に、ドキドキと心臓は高鳴る。
けど、その余裕に満ちた対応が、この人は大人なのだと僕に告げているようで。
年の差という壁を実感するようで、僕は少し不機嫌になる。

「・・・?」

ブチャラティはそれにも気付いたらしく、不思議そうな顔で僕の顔を覗き込む。
ブチャラティの顔が至近距離にあって、心臓は早鐘を打つけれど不機嫌はなおらない。
ブチャラティはべろ、と僕の顎をなぞるように舐めた。

「っ!?」

僕は驚いて、ばっとブチャラティから離れた。
するとブチャラティはくく、と笑った。
そして少し眉間に皺を寄せ、意地の悪い笑みを浮かべる。

「・・ゆっくりでいいって言ったけどな、焦らしプレイがすきってわけじゃあねーんだぜ?」

そう言うブチャラティの目は、あからさまに欲情の色を浮かべていた。
明らかに興奮している、というような瞳に見つめられ、ごく、と喉が鳴った。
切羽詰まっているというわけでもないけれど、余裕綽々というようにはとても見えないブチャラティの表情に、
年の差とか、今まで考えていたことはとりあえず忘れようと思った。

「すみません」

そう言って、僕はブチャラティの体を倒して口付けた。

「・・・は、・・・っ」

「・・んっ・・・あ・・」

僕はブチャラティの服を肌蹴させ、首元に顔を埋めた。
そこを舐めると、ブチャラティから「・・ひ・・っ」と悲鳴染みた嬌声があがる。

「・・・ブチャラティ」

少し上擦った声で、名前を呼ぶ。

「なん、だ」

首元に顔を埋めたまま、僕は一言ひとことを確かめるように、ゆっくりと言葉を発した。

「・・僕、どうしたら、いいですか?」

ブチャラティは手を伸ばし、僕の頭をぐしゃぐしゃにかき回す。

「・・すきにして、いいぜ」

熱の籠った声で、でも相変わらず男らしく、ブチャラティはそう言った。
僕と目が合うと、彼はにやりと笑った。
その言葉と表情に、僕は妙に煽られる。心臓がバクバクと音をたててうるさい。
僕は一度ブチャラティに軽く口付けると、ズボンを下着ごと取り去ってブチャラティ自身に口付ける。

「・・っ、あ・・・は・・っ・・」

びく、と体を揺らすブチャラティがかわいくて、僕はそれを口に含んだ。
舌や唇を使って、舐めたり挟んだりすると、ブチャラティからひっきりなしに声があがるようになる。
僕はそれに気を良くして、(僕自身が少し焦っていたというのもあるけれど)歯で軽く噛んだりしてブチャラティを追い詰める。

「は・・あっ・・・ん、あ・・・ジョ・・・ジョル、ノ・・っ」

「ん・・・は、あ・・・ブチャラ、ティ・・」

口を離して、熱の籠った声でブチャラティの名前を呼ぶと、ブチャラティがふふ、と笑った。
再びそれを口に含みながら、僕は返事をした。

「・・なにわらってるんです?」

実際はもがもがと籠ってしまい、ちゃんと発音できなかったが、ブチャラティは僕が何と言ったかわかったらしく、嬌声交じりに笑った理由を話した。

「・・っあ・・は、若い、な・・・とっ・・・ん、ふ・・っ思・・って、な、あっ」

苦しそうに眉を寄せ、それでも笑うブチャラティ。
若い、という言葉に僕は少しむっとなって、思いきり吸いあげた。

「・・っ!?・・・ジョル、ノ・・・ッ・・・は・・」

「・・・たった五歳差です」

言ってから、しまった、と思った。
自分でも、まるで拗ねているような声が出たとわかった。
恐る恐るブチャラティを見ると、案の定、にやにやと楽しげに笑っている。

「・・・」

僕の頭を撫でて、満足そうに目を細めるブチャラティに、(ドキ、としたけれど)むっとした。

「・・・ほら、もう!集中してください!」

「わ、っあ・・・ん・・・・は、はは・・・わ、かった・・」

笑い声交じりの嬌声に、僕はまた少しぶす、と顔を歪める。
でもすぐにブチャラティは快感を追うのに必死になったようで、ぎゅ、と目を瞑り眼尻に涙を溜めている。

「・・・あ、ジョルノ・・っ、も、い・・・いっ」

僕は口を離し、先走りで濡れた指を伸ばす。
一本は難なく入り、ブチャラティから高い声が上がる。

「うぁ・・っ、ふ・・・・は・・っ」

余裕のなくなってきたらしいブチャラティの体は、小刻みに震える。
目尻の涙も流れ落ちて、涙の筋だけを残していた。

「・・ん・・・は、あ・・・あっ」

「ブチャラティ・・」

指を増やして、丁寧に慣らす。
途中何度かブチャラティが「もう、いい・・か、ら・・・っ」と切羽詰まった声で言ってきたが、聞き入れなかった。
僕が自分でいいだろうと思う頃には、ブチャラティは顔を真っ赤にして、ボロボロと涙をこぼしていた。
僕を少し睨んで、

「・・おまえ、しつこ、い・・」

と、吐き捨てた。

「痛い思いをしてほしくないんですよ。・・・いれます、よ」

「ひ、・・っあ・・・・ッ」

時間をかけて慣らしたお陰で、ブチャラティは痛がる様子もなかった。
ただふるふると震え、唇を噛んでいる。

「・・・ブチャラティ?」

顔をよく見ようと思い、少し乗り出すと

「う、ぁ・・・っは、動く、な・・っ」

びく、と体を揺らして、ブチャラティは僕を睨んでそう言った。

「・・痛かった、ですか?」

まだ足りなかったのだろうか、と僕が思考を巡らせていると、ブチャラティはぶんぶんと首を横に振った。
薄く目を開け僕を見ると、苦笑を浮かべて、

「きもち、い・・か、らっ」

と掠れた声で言った。
僕はそれを聞いて、もっと気持ちよくさせたいだとか、感じさせたいだとか、そういう思いばかりが湧いてきて。

「・・・ジョル、ん、あっ!?」

衝動的に僕は動いていた。
ブチャラティは驚いていて、それでも僕が動く度に高い声をあげる。

「あ・・、おいっ・・・ジョル、ノッ・・・は、あっ・・・そん、な・・動かなくて・・・ん、・・いいっ」

「きもちよく、なって・・もらいたいんです・・」

零れる涙を舌で舐め取りながら、僕は答えた。

「あっ・・・待て・・って、・・ぁ」

ブチャラティの制止の声も聞かず、僕は腰を動かす。
ブチャラティのいいところに当たるように腰を使っているつもりだけど、あまり自信はない。

「う・・あ、ジョ、ジョル・・・ノっ・・は、あ・・・・や、め・・・あっ」

ブチャラティの嬌声に、やめろという言葉が混じる。

「ジョルノ・・待っ・・・あ、・・ふ・・は、っやめ・・・ろっ・・」

眉間に皺が寄り、ブチャラティの顔が歪められる。
涙を零して、辛そうな顔に、僕は動きを止めて問いかけた。

「やめて、いいんですか?」

苦しそうに呼吸を乱すブチャラティ。
あまりにも辛そうなその表情に、僕は一旦体を離そうと思い、腰を引いた。
するとブチャラティの眉間の皺が、更に深く刻まれる。

「・・やめんなっ・・・」

「え?」

思わず聞き返すと、ブチャラティは僕の袖をぎゅ、と掴み

「・・だいじょうぶ、きもち、い」

と苦しそうに笑った。
僕はブチャラティに噛みつくようにキスをした。

「・・・ふ、あ・・・ジョル・・ん・・・ジョ、ルノ・・・っ」

「・・・っは、ブチャラティ・・・」

そして二人同時に果てた。


















「お前、若いくせにねちっこいな」

ブチャラティがからかうように笑って言う。
僕はむっとして、それに返事をする。

「・・そうじゃなくて、ブチャラティに痛い思いをさせたくなかったんです」

さっきも言いましたよね、と言った僕の言葉にさえ、ブチャラティはくすくすと笑っている。
掠れた声で笑うブチャラティを睨むと、目が合ってまた笑われた。

「ジョルノ」

「・・・なんです」

拗ねたような声で返事をすると、額にキスをされた。

「すきだぜ、ジョルノ」

ブチャラティはにぃ、と笑う。

「・・・知ってます」

小さな声で、僕もです、と呟いた声に、ブチャラティは更に笑みを深くした。

















++++
素敵なネタを忠実に織り交ぜていったら、
私の技量不足でジョルノが何をしたいのかわからなくなった。
まるでジョルノはやりたくないかのようだ←


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あきゅろす。
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