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騎乗位 (ミスブチャ)

「あっ・・うぁ、そこ・・・」

「・・・っ」

「じゃ、・・ないっ」

「・・・・・・へ?」



恐らく俺は今、世界一間抜けな顔をしているだろう。
ぴたりと動きを止めぽかんとしている俺の下で、ブチャラティはむっと不機嫌な顔をしている。

「・・・え?」

「だから、そこじゃない」

「え・・あ、すみません・・?」

よくわからないけれど、とりあえず謝る俺。
そして、今度はちゃんとブチャラティのいいところに当たるように、指を動かした。
はず、だったんだけど。

「は・・・あっ、・・・だ、からっ、ん、ちが・・・う!」

「・・あ、れ?」

ここも違う?
ブチャラティは更に顔を顰め、ぶすっと不満そうな顔をする。
あれ、でも今一瞬きもちよさそうな顔してなかったか?

「ブチャラ」

「そこじゃない」

じとっとした目で俺を見て、はっきり言い切る。
きもちよさそうな顔をしていたように見えたのは、俺の勘違いか見間違いだったようだ。
ブチャラティは不満顔のまま、足で俺の脇腹を蹴り、指で俺の頬をぶすぶすとつついた。
痛くはないが、妙に屈辱的だ。

「・・・おい・・ブチャラティ」

「何だへたくそ」

「・・・・・・」

返す言葉もない。
むかつくので、指をもう一本増やした。

「う、あっ・・」

ブチャラティは声を上げたが、すぐにむっとした顔になって、

「・・っ、もっと、・・ひ、だり・・っ」

と文句を言った。
結構きもちよさそうに見えるのに、どうやら違うらしい。
ブチャラティの言う通りに少し左へ動かすと、ぴくっと肩が揺れた。

「・・・んん、も、すこし・・・あ、ちが・・っ、ミスタ!」

いきなり名前を呼ばれ、髪を引っ張られた。
ブチャラティの顔が目の前に迫る。

「いっ・・・」

「俺が乗る」

「・・・は?」

本日何度目かの、間抜けな声。
ブチャラティは体を起して、俺の鼻に軽くキスをした。

「・・・っ!」

「だから、横になれ」

「いや、ちょっと・・ブチャ」

「なんだ?いやなのか?」

「えっ?」

いや、じゃ、ない・・。
というか、むしろ大歓迎ではある、だけど。
へたくそ、と言われた揚句に俺が乗るなんて言われたら男としてのプライドが、

「・・・・お願いします」

男のプライドなんて、目の前にある誘惑に比べればちっぽけなもんだった。だって、騎乗位だぜ?
ブチャラティはにやりと笑って、「じゃぁ横になれ」と楽しそうに言った。



言われたとおり横になると、ブチャラティは俺の上に跨った。
いい眺め、なんて思っていると、ブチャラティがふ、と笑って、

「・・入れるぞ」

と言った。

「・・・っ」

「・・ん、は・・あ・・・」

ゆっくりと、ブチャラティの中に埋まっていく。
ブチャラティは呼吸を荒くしながら、苦しそうに目をぎゅっと瞑った。
最後まで腰を下ろすと、ブチャラティは辛そうな顔でにやりと笑った。
けど、それはいつもみたいな笑顔じゃなくて、余裕の感じられない笑みで。
その辛そうな顔に、心臓が高鳴るのを感じた。

「・・・っは、・・今、少し大きく・・」

「ちょ・・・っ!?そ、ういうこと、照れもせずに言うなよ!つーか、言わなくていい!」

「なんだ?恥ずかしいのか?」

にやにや笑うが、眉間に皺が寄っていて少し苦しそうだ。
その表情がまた、ものすごく色っぽくて、何というか、困る。

「・・・いいからっ!動かねぇの!?」

「・・・」

「・・・?」

ブチャラティの眉間にさらに皺が寄る。
無言のままのブチャラティを見つめていると、ふぅ、と息を吐いた。
そして少し睨むような目をして、

「・・・っは、・・・ん、あ」

ゆっくりと動き始めた。
その動きは「俺が乗る」なんてきっぱりと言い切ったわりにはやけに緩慢で。
確かにそそるものはあるけれど、俺はじっとしていればいいだけに少し余裕が出てきた。

「あれ?威勢よかったわりに、随分辛そうだけど?」

いつものブチャラティみたいに、ニタニタと意地悪く笑ってみる。
言葉攻めなんて、ブチャラティに対しては初めてだな、なんて思いながら、更に俺は言葉を続ける。

「実はもういっぱいいっぱいだったりして。なぁ、ブチャラティ?」

「・・・っ、ん・・」

俺が調子に乗って顔を近づけると、ぎろっと睨まれた。
忌々しそうに、でも目元が赤く染まっている分、いつもの迫力は感じられない。

「何なら俺が動こうか、ブチャラ・・ッ!」

「んんっ・・・あ、・・」

調子に乗りすぎたらしい。
いきなり力を込めたブチャラティに、俺は射精感を堪えるはめになった。
ブチャラティがしてやったり、という顔で笑う。

「あんま、ちょう・・し、・・乗ってんなよ、っ、ミスタ」

途切れながらもそう言うブチャラティに、俺は苦笑いを浮かべて、「すみません」と言った。
何だか、騎乗位になってからブチャラティがかわいく見えてしかたない。
いやいつも可愛いんだけど、今は特別かわいく見える。
この、無理して笑ってる、みたいな強がってるブチャラティがほんとうに、かわいいと思う。

「・・・あんた、かわいいな」

そう口に出すと、ブチャラティは苛立ちを隠しもしない、本当に不機嫌そうな顔になった。

「・・・むかつく」

そう言ったかと思うと、唐突に腰を上下に動かしだした。
今までの動きよりも早められたそれは、俺から余裕を奪う。
でもそれは、ブチャラティも同じらしく、

「あ、・・んっ、ふ・・・あっ!・・・っ」

「・・・っ、は・・」

ブチャラティの口から、ひっきりなしに高い声が漏れるようになる。
しかも、目尻に溜まった涙や苦しそうに眉間に刻まれた皺が、俺を煽ってならない。

「・・ブ、チャラ・・ティ・・っ」

「は、あっ・・・、ミス、タ・・・あっ、ミスタ・・ッ」

魘されたように何度も俺の名前を呼ぶブチャラティにキスをした。
鼻、額、頬、口。
いつもブチャラティがするみたいに、顔中に軽いキスを落とす。
するとブチャラティは薄く目を開け、目尻に溜まっていた涙が零れた。
今度はブチャラティから俺に口付けてくる。
それは俺がしていたような軽いキスじゃなくて、息をつく暇もないような、深いもので。

「・・・は、・・っ」

「・・・ん、・・ふぁ・・・・っあ」

その間にもブチャラティの腰は揺れていて、俺の方はもう、本格的にやばくなってきた。

「・・・っ、ブチャラティ、ちょっと待っ、・・・少し、じっとしてて、くれ・・」

あと一息でイッてしまいそうで、この珍しく余裕のないブチャラティをもっと見ていたかった俺は、そんなことを言っていた。
ブチャラティは少しの沈黙の後小さくうなづいたが、体は辛そうに、小刻みに震えていて。
それは、限界が近い俺にとって、“じっとしている”内には入らなくて。

「・・・ブ、チャラティ、ほんと、やばいから・・・動くなって・・」

「う、ごいて・・ねーよッ・・」

そう言っているブチャラティはやはり震えていて。
仕方ない、と思って意識を目に集中させ、できるだけブチャラティの辛そうな顔を堪能することにした。
暫く眺めていると、ブチャラティが首をぶんぶんと横に振って顔をあげ、目が合った。

「・・・っ、も、げんかい・・ッ」

「え、ちょ・・ブチャラティ・・っ」

切羽詰まった声でそう言うと、ブチャラティはまた動き出した。
先程よりも余裕がなくなった動きに、ただでさえやばかった俺は、もう限界で。

「・・・は、っ・・・ブチャラティ・・・ッ」

「ん、あ・・っ、ミス、ぁ・・・ミスタ・・」

同時に我慢の限界もやってきて、俺は自分から動き始めた。

「あッ・・や、ミスッ・・・タ!あ・・は、あっ」

「・・・ッ」

一瞬ブチャラティが咎めるように俺を睨んだが、その表情もすぐに快感に飲み込まれる。

「ミスタ、ミス・・・っ・・あ・・は、や、ぁ・・・・・あぁー――・・ッ」

一際高い声をあげて、ブチャラティが果てた。
それとほぼ同時に、俺も限界を迎えた。

「・・・ッ、ブチャラティ・・・・っ」

あ、ゴム忘れてた。なんてブチャラティの言葉で俺が我に返ったのは、それから1時間後だった。
その1時間の間に何があったか、なんてのは、冷静になった頭じゃとても言えやしない。






「・・・ブチャラティ」

「後始末が面倒だな」

先程までの熱の余韻に浸っていた俺は、ブチャラティの言葉に呆れるしかない。
つい5分前までは俺が動く度にあんあん喘いでいたのに、今のブチャラティは普段の姿と変わらないほど冷静で。
本来なら照れてもいいようなことを、淡々と言ってのける。

「・・・なんだ」

俺がじとっと見ていると、ブチャラティはそれに気づいたらしくむっとして聞いてきた。

「いや、何ってわけじゃねーけど・・・あのさ、もっとこう、余韻とか・・」

「男は、行為が終わったらさっさと寝たいのが普通じゃないか?」

「いや、それにしたって・・」

あんたは切り替えが早すぎる、というか、さっぱりしすぎている。
とは思ったけれど、ただでさえ疲れているブチャラティの機嫌を損ねるのは得策ではないので、そこは口を閉じた。

「・・・」

でもどうしても気になることがあって、ブチャラティが不機嫌になるのを覚悟で、風呂場に向かうブチャラティを呼びとめた。

「・・・なぁ、あのさ、一回目の・・・あれ、本当にきもちよくなかったのか?」

予想通り、機嫌悪そうな顔で振り向いたブチャラティは、俺の質問に「ああ」とさも興味なさそうに答えた。

「嘘」

「・・・・・・・・・」

やっぱり、とは思ったけれど、口には出さなかった。
黙り込んだ俺を見てブチャラティはにやりと笑い、ベッドに戻ってきた。

「本当はきもちよかった」

顔を近づけて、ブチャラティは笑いながらそんなカミングアウトをする。
その表情とそのセリフは反則だ、と思いながら、顔が赤く染まっていくのを感じた。

「でも、悪くなかっただろ?騎乗位」

「う・・・まぁ」

目をそらして肯定すると、視界の隅でブチャラティが得意げに笑うのが見えた。
悔しくなったが、直視したら歯止めがきかなくなりそうで、目を合わせないまま言った。

「・・・余裕のないあんたとか、すげぇ、かわいかった」

からかうとかでなく、本心からそう言った言葉にブチャラティは言葉を返さなかった。
不思議に思って、ゆっくりと目をブチャラティに向けると、

「・・・っ!」

頬を赤く染めて、少しばつの悪そうな顔をしたブチャラティが、いた。
つまり、あれはブチャラティにとっても予想外だった、というわけで。

「・・・もしかして、騎乗位・・・初めて、だったのか・・?」

「いや、初めてではない、けど・・」

最後は声が小さくて聞き取りにくかったけれど、

「・・こんなにきもちよかったのは、初めてだった」

とはっきり聞こえた。
こんなにわかりやすく照れているブチャラティを見るのは、初めてで。
喉がごくりと鳴った。
それはブチャラティにも聞こえたらしく、怪訝な顔で、

「・・・お前、まだ元気なのか・・?」

と、本当に嫌そうに言われた。
あんたがかわいいのが悪い、と叫びたいくらいに強く思った。
















++++
エロ2作目にして騎乗位なんて無茶を言ってくれた
こふじのネタ提供。
漫画描いてくれるっていうから頑張った記憶だけがあります。
「わがままなブチャラティ」がミスブチャの萌えポイント。


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