しろの小説(短編)
【土銀】Strawberry Milk
「今日うちで飲まねェ?」
仕事を一段落させた土方は真っ直ぐ万事屋へ向かうと鍵をかけてない戸に手を掛けガラガラと開けると、
「あぁ、土方。なんだ、思ったより早かったなー」
戸を開ける音に気付いた銀時が首にかけたタオルで頭をわしゃわしゃと拭きながらパタパタと玄関へと出てきた。
「風呂にでも入ってたのか?」
「この格好で他に何があるってんですかコノヤロー」
「風呂入る時ぐらい鍵かけとけ」
「はぁ?鍵かけたらお前入って来れねーじゃん。大体この家に盗られて困るような貴重品とかねぇし」
「そういう問題じゃねぇよ。…はぁ、とりあえず上がるぞ」
「…?おう」
「ん、やっぱ風呂あがりの酒はたまんねぇなぁ。お前ももっと飲めよ。それともお前も風呂入ってくるか?」
「銀時…お前…」
「ちょ、な、何?顔が近ぇっての」
「なんか体中から甘い匂いしてねぇか?いや、普段から甘い甘いとは思ってたけどよ」
「あ?あ〜、もしかしてアレか。入浴剤で面白いの見つけたんだけどよ。『ホットいちごオ・レ』。コレがまた俺好みでよォ、ついつい長風呂しちまったわ」
「だから俺を出迎えた時にやたら赤い顔してたのか」
「お前もあの幸せ空間に浸ってみ?」
「いらねぇ」
「なんだよ。さすがにマヨ風呂とかねぇよ?もし存在しても全力で却下だけどな」
「そんなもんより…」
「んっ、ちょ、どうした?くすぐってぇよ」
「風呂よりテメーに浸りてェ」
「んふ…ぁ」
「…やっぱりテメーはもうちっと用心しろ」
「? 何言って…」
「誰にでもホイホイとエロい姿見せんじゃねェ。襲われでもしたらどうすんだ」
「現在進行形で襲ってる人にとやかく言われたくないんですけど」
「風呂あがりの肌に甘ったるい香りとか…、誘ってるようにしか見えねェんだよ」
「テメーが勝手にムラムラしてるだけの話だろーが…あっ、ん……、や…寝室…ここじゃソファーが汚れちまう」
「だったらいっそ一緒に風呂にでも入るか」
「さっ…きテメー、いらねぇって…言ってただろーが」
「気が変わった」
「わっ!? ちょ、俺のいちごオ・レ汚すようなマネする気じゃねーだろうな?!…てか!降ろせよ!!」
「暴れんな。俺にいちごオ・レの素晴らしさを伝えたいんだろ?絶好のチャンスじゃねーか」
「そんなこと言って、実際は俺が力説する余裕も与えずに風呂であんなことやこんなことしようとしてんだろ!?俺ァだまされねーぞっ」
「気持ちよくなりたくねェのか?」
「……。なんかムカつくんですけど。殴っていい?」
「良かったら入浴剤でもなんでも好きなモン買ってやるよ」
「……土方のムッツリスケベ。それに買うならホンモノ買いやがれ。つか奢れ」
「じゃあ決まりだな」
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