土銀のとある夏のメール
『むぅ。最近放置され気味じゃね？』
『特に何かあるわけでもねぇから連絡してなかっただけだろ……さみしかったのか？』
『バッ……、だっ、誰が心配するかボケェェェェ!!
出張から帰ってきたワリにあんまり連絡よこさねーからどうしたんだろうとか俺のことどうでもよくなったのかとか別に考えてねーから調子んじゃねェ！
バーカバーカ！』
『ツンデレが色々駄々漏れてるぜ。
まぁ悪かったな、たまにはこっちからも連絡するようにする。
機嫌直せよ』
『ツンデレとか言うな。否定してんだろうが人の話をちゃんと聞けやァァァ!!
別にテメーがどうしようが知ったこっちゃねーし!!』
『はいはいわかってるわかってる』
『ぜってーわかってねぇよっ！くっそ、こうなったら浮気してやる』
『ばっ、テメェ本気で浮気なんてしやがったらただで済むと思ってんじゃねぇぞ！』
『ただじゃ済まなかったらどうなるんですかァ〜？銀サンをほったらかしにした罪は象が踏んでも壊れない筆箱をも潰すくらい重いんですぅ〜』
『……わかったよ、今度、休み取れたらすぐに手土産持って詫びに行く。
それまでぐらいは、待っててくれ』
『…おう。今日はやけにあっさり引き下がるじゃねーか。夏風邪でも引いたか？
オメーがそこまで言うなら待ってやらねぇこともねェよ』
『そうだな、こじらせると面倒なモノは多いからな。
そっちも健康とか気ィつけろよ、麺類で身体冷やして腹出して寝たりすんなよ』
『なんか今日の土方くんやたら優しくね？なんか銀サン恥ずかしくなってくるんだけどやめてくんない？
腹出しつーか暑すぎるからパンイチとタオルケットで寝てるな最近は』
『バカかテメェ！腹出しても構わねぇからパンイチはやめろ!!』
『えーなんだよ、いいじゃん、銀サン男だしパンイチでも』
『……ガキの教育的によくねぇだろ。それにあのチャイナ娘のことだから白い目で見たりすんじゃねぇのか？』
『白い目ねぇ……気にしたことなかったな。だってホラ、水着もトランクスも似てんじゃん。風呂上がりとか暑い時って家でパンイチぐらいフツーじゃね？』
『独身とか野郎だらけの所でならよく見るけどな……いや、でもまず水着とトランクスを同一視するのは問題だぞ、そこは改めろ。そしてパンイチは即刻やめろ。周りの環境がどうこう以前に絶対やるな！それでもやめねぇってんならそれは「どうぞ襲って下さい」と言ってるモンだと思うからな！』
『そりゃあよォ、水着と下着を同一視するのは問題かもしれねぇけどよ…。下着姿のねーちゃんとかいたら俺もびっくりするし。つーかガン見するね俺ァ。
でもそのあとの『どうぞ襲ってくださいって言ってるようなモンだ』って意味がわかんねぇよ。……ん？そういやこの間、神楽も「目の毒」だの「襲われても知らないアル」だの言ってたような…？』
『…まさか通じねぇとは思わなかった。ガキの方がよっぽどよくわかってんじゃねぇか。
……露骨に言えば、あの、アレだ。脱がす手間が省けるよな、パンイチだと』
『脱がせるのが楽って…おま、何考えてんの。そんなこと考えんのオメーぐれーだろ……ハッ!!まさか土方くん銀サンの寝込み襲うつもり!?』
『だっから！そんな奴が俺だけなんて保障もねぇんだし、誰にとも襲われたくなかったらやめろっつってんだ！』
『襲われる時はどんな格好だろーが襲われる気ィするけどな。だったらどんな格好で寝りゃいいんだよ？甚平でも暑くて寝汗びっしょりなんだよなぁ……はだけるのはありなのか？』
『我慢して甚平着とけよ。誰だって夏は暑い中寝てんだよ。押し入れのチャイナだって寝間着ちゃんと着てんだろうが？
…腹出すくらいなら良いがはだけんのは…狙ってはやるな』
『お前の基準、よくわかんねー。腹出しがよくてはだけるのがダメって…。
あーもーあちいなぁオイ、いっそクーラー買ってくれよ。あ、ダメだ、払う電気代が無ぇわ』
『今年値上がってんのは電気代だったかなんだったか…まぁそれはいいとして。
あぁ、確か氷のうや冷えピタ使って熱を逃がしてる奴の話を聞いたことがあるぜ』
『あぁ、確かにソレやらないとやってらんねーくれぇに暑いよな。
…はァ、いいよなそっちはクーラーきいてるんだろ？いっそ夏の間そっちに居座ってやろうかなァオイ』
『まぁ、俺に文句はねぇけど……っ、いや、ダメだ。
示しが付かない上に風紀的にもよくねぇ。
こっち来るくらいなら志村家に行け。
あっちもエアコンなんかはねぇだろうが、うだうだ言ってるテメェよりは夏の過ごし方は上手なんじゃねぇか？』
『風紀的にってどういう意味よソレ。クーラーきいてる屯所でゴロゴロしてるのがダメって意味…だよな？つーか沖田くんはいいのかよ？
新八んトコねぇ……あー、やっぱ無理だわ、テメーんトコのゴリラの相手すんのがめんどくせー』
『総悟にも良い顔してねぇだろうが俺は。それでもアイツは隊員だし追い出すわけもいかねぇだろ。それなのにお前を泊めるってのは…あの…だから察しろ、わかるだろ。
つか近藤さんに挫ける程度なら我慢して氷のう用意しとけや。冷えピタが良いなら今度買ってってやる』
『察しろ…って…、
ん？んー？
…何やらしーこと考えてんの。俺は涼めればそれでいいっつってるだけだってば。それでお前がムラムラするのはお前の我慢が足りねェだけだろ。
あーもーいいよ、諦めりゃいいんだろ。
あ、夏だけホストにでもなるか。あっこクーラーガンガンきいてっし。
…パー子は最終手段だな』
『って、ツッコミ所が多すぎるわァァァァ！
えーっと、まずだ、全然察してねぇし！
さっきから暑さのせいか、いつも以上に鈍いのはわかってたが酷ェなオイ！
お前の推察もあながち間違ってねぇけどさっき言いたかったのはつまり「外部の奴を特に意味なくわざわざ泊めるってのはつまり周りからどう見られるのか考えろ」ってことなんだよ！
ことさら隠しても晒してもいない関係をわざわざ周知にさせたいのか？いいけどな、ある意味牽制も楽になるから！
次に、ホストとか何考えてやがんだ。
最終手段とやらも良い予感がしねぇなぁ？
……お前からしたら打開策もやれねぇのにぎゃーぎゃーうるさいように感じるのかもしんねぇけど…頼むからおとなしくしててくれよ…』
『ツッコミどころ多い？マジでか。
そんなモンどーにでも言い訳出来んだろーが。テメーが妖刀に取り憑かれた時の貸しがあるからとかなんとか…。そっちに居座るだけでそこまで勘ぐられる頭はなかったわ。
牽制って…そんなんしなくても誰も狙わねーっての。
あとの二つは働いてんだから涼めるわ稼げるわの一石二鳥じゃねーかなんの文句あんだよ。
アレもダメ、コレもダメって、もう打開策考えんのもしんどくなってきたじゃねーか』
『俺も疲れてきたな…。
互いにちっと間を空けた方がいいかもな。
休みは今度ちゃんと取るから、文句もそんとき聞く。
それとも、ホントにこっちに来るか？
チャイナどうするのか知らねぇが』
『男所帯でヤローしかいねぇトコにあいつを連れてけるワケねぇだろ。
それに…俺がそっち行ったら迷惑かかるんだろ。いいよ別にもう』
『娘一人暑い中に放り出すのも鬼だろうが、
そう納得しとけ。
クーラーは無理でも…扇風機ぐらいなら…今どきミニサイズとかもあるらしいしな。
それでよかったら、見に行くか？』
『あー…あぁ。
“せんぷうき”ってフツーの風送るアレだよな？
読み方同じでモノが違うとかもうゴメンだぜ。嘘、大袈裟、紛らわしいに通報してやろうかとあの時は思ったねホント』
『は？あぁ…またなんかあったのか。
最近は羽根のない扇風機もあるみてぇだから、送風機ってのが正しそうではあるな』
『なんかリングみたいなのとかあったな。すげー静かなヤツ。
定春も涼めるか？』
『そうだな、
お前んトコは予想外の行動するヤツが多いしな、危なくねぇうるさくねぇってのはいいよな』
『あと、壊れねぇ…象が踏んでも潰れねぇとか。神楽がたまに無茶すんだよな』
『それは…なぁ…。
天人仕様でもなきゃ難しいんじゃねぇか？
つか、象が踏む程度の力と互角なのか？なんとなくそれ以上な気がすんぞ』
『じゃあ天人仕様でいいじゃん。土方くんが買ってくれんだろ？ついでにソレが冷風出るヤツならもっといいんだけどなぁ。扇風機の電気代と同コストで』
『そこいらの店に売ってんのか？
他の星の物とかになると通販とかになんじゃねぇのか？
割高になりそうだし、最初は壊すの覚悟で安めの見繕ってみるのが無難じゃねぇのか……だからってすぐ壊すなよ』
『あ〜なんでもいいよ。お前が買ってくれるものならなんだって』
『……今度、買いに行くぞ。
欲しいのあったらそれまでにピックアップしとけよ』
『マジでか。あと銀サン、帰りに甘味食いに行きてぇな♪』
『土産まで持ってくのにか。
まぁ、暑いしな、かき氷とかで涼めばいいか』
『それはそれ、これはこれ。別腹なんですぅ〜。
かき氷ならやっぱり宇治銀時スペシャルだな』
『…氷の量が減ってそうだが良いのか…ってツッコミは無意味か。
ま、楽しみにしとくか』
『ん？なんでオメーが楽しみにしてんの？そりゃ俺としてもいやいやよりかは万倍いいけどよ』
『な、なんだよ…久々にお前に会えるのを楽しみに思うのがそんなに変か？…くそ』
『別に変だなんて思わねーよ。ただ…そうさなァ、オメーが隠そうともせず『楽しみに〜』とか言ったのがちと意外だったっつーか…。
まぁ、そう機嫌悪くすんなって。俺も…その…土方に会えんの楽しみにしてっからよ』
『…おう。じゃあ、休み取れたらまた連絡する』
『じゃあな。無理しねー程度に仕事頑張れよ』
『そっちも…あんま厄介事に巻き込まれんなよ』
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