攘夷派で伍の御題
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また今の空き家にも潮時の日が来た。
みんな荷物をまとめて、いつ敵に出くわしてもいいように臨戦状態で小屋を出る。

この土地ともお別れだ。



「…オイ。よくアイツ納得したなァ?」

「最初からお前がちゃんと言えば良かったものを」

「何を言ったのか知らんがぁ〜、高杉に一途な娘はおんしにずっぽり溺れてんの〜」

「いいのかよ高杉、手放しちまってよォ?」

「ククク…手放したわけじゃねぇ。待たせてあるだけだ」

「υ その自信は尊敬するぞ」

「アイツなら心配ねぇ」

「お前、高杉に一途な娘の気持ちが自分と同じだって知っててよく今までそんな態度でいられたな」

「高杉に一途な娘もえらい男に惚れたもんじゃの〜アッハッハ」



あたしは仲間が向こうに歩いていくのを見送っている。
まさかこんな日が来るなんてなぁ…

みんな何度もあたしに振り返って手を挙げてくれるのに、晋助は一度も。



俺の目の前で傷つくな。
俺がやること全て終えて帰ってくるまで待ってろよ 高杉に一途な娘




ずいぶん勝手なこと言ってくれんじゃない。
それまで自分の身は自分で守れってこと?

なんだ、認めてくれてんだ。
いいわよ、それぐらい。


だけどその代わりちゃんと帰ってきてよね。

あたしもあんたも、意地っ張りすぎて大変だよ、ほんとう。







fin...


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あきゅろす。
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