攘夷派で伍の御題




「――晋助ッッ!」


あたしは部屋の中から障子戸を勢い良く開けた。
外の明るい日差しと一緒に視界に飛び込んできたのは、振り返った二人の男。


「高杉はここにはおらぬぞ」

「え〜〜〜っ」

「アッハッハ!元気じゃの〜高杉に一途な娘」


いつもながら冷静な声音のヅラと、最近あたしたちの仲間に加わった天パ笑い上戸の辰馬。


「〜〜っ、まーたフラフラどっか行っちゃうんだからぁ」

一体どこにいんのよっ。


「町にでも下りてるのではないのか?」

「こんな真っ昼間から女に会いに行っちょるちゃァ、高杉も抜け目ないの〜」

「Σえッ!?女んとこ?!」

「オイ坂本υ、…鬼兵隊の談会だろう。最近は夜の幕府の目が厳しいから、日中の方がかえってやりやすいんだと思うぞ」

「また行っちゃったの〜っ?」


女のとこは一番ヤだけど、たとえ鬼兵隊の話し合いでも今はとにかく嫌だ!

あたしの膨れっ面を笑ってくる辰馬と、やっぱり微笑しているヅラをじっと見つめた。


「…鬼兵隊…あたしも入りたいって言ったのに…」

何度お願いしても、返ってくる返事は『ダメだ』か何も言わずソッポ向いちゃうか。


「高杉に一途な娘、気持ちはよく分かるがな…」

「銀時は知ってるかな、晋助がいるとこ。聞いてみよっと。ヅラ、辰馬 ありがと」

「ヅラじゃない 桂だ!――オイ高杉に一途な娘っ…υ」

「高杉も愛されてんの〜。羨ましい限りじゃ」


ヅラの言葉さえぎっちゃったけど、今あたしは晋助しか考えられない。


豪快な笑い声を背後に聞きながら寺を駆け出した。




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あきゅろす。
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