攘夷派で伍の御題
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――翌朝

娘が起きると祖父が戻っていた。孫娘が腕に擦り傷を負っていたのを目にするとおろおろと心配した。

その日は造船組の職人達が店に集まってきて、騒ぎで壊れてしまった部位をみんなで修理し仕上げに取り掛かった。




「ぁあ?…おんしゃどーしただか?あんなに頑なに拒んどったのに」

「どうもせんよ。ただ、自分の知らんかったことがたくさんあったことに気が付いただけじゃ」


祖父の問い掛けに、娘は口元だけで柔らかく笑んで返した。


「じいちゃん一人になってしまうけど…」

「わしのことは構わんでいい。行ってきなさい」



「こんにちは〜」

「いらっしゃい」


いつも通りの笑顔でやって来た男に、娘は自分の意を告げた。
無論、男は大喜びで。


「――じいちゃんは、今造ってる船が完成したらおまんに捧げるってゆーちょる」

「Σほんとかァ!?いいんかァこんなえらいもんを〜?」

「船を守ってくれたんだ。みんな感謝しちょるきに」

「アッハッハ!そーかぁ嬉しいのー!ますます学びに励まねばの〜。
――そうじゃ、わしゃおんしの名前をまだ聞いちょらんきに。何とゆーんじゃ?」




「 陸奥じゃ 」







…わしはアンタの言う“大義”ってもんを一緒に成し遂げるよ


この果てなく広い宇宙で…











fin...

→あとがき



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あきゅろす。
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