攘夷派で伍の御題
11

「オーイ。大事に運びなさいよ?あとついでに燃料もいただくことにしようか」


娘に刀を突き付けている、その集団の頭らしい天人が他の者に指示を出している。

…すると一瞬、その手が娘の肩から離れた


「――っ」

娘はその瞬間に足元に落ちていた工具を握り、思いっきり背後の天人の頭目掛けて投げつけた。それは鈍い音を立てて見事に敵の後頭部に当たり、天人の動きが止まった。


「…大人しくしてればいいものを…」


憤りに眉間にシワを寄せる天人が振り返るのを見るや否や、

「――ッがハっ…!!」

今度は娘の腹部に巨大な拳が入った。


「くっ…」


娘は痛む腹部に手を当て、身を屈めた。朦朧とする意識を何とか叩き起こそうと、何度も瞬きを繰り返す。
自分に向けられた複数の気味の悪い笑い声が脳にぐらぐらと響いている。



そんな中――


「こんばんは〜。すいませーん。忘れもんしちゃったきー」


伸びた語尾と暢気な笑い声が娘の耳に飛び込んできた。




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