攘夷派で伍の御題




「オイィ入るぜ〜?」

「いいだろ。返事も無いようなら」


――ガラガラッ…


「…何だよ本当にいねぇみてぇじゃ…」

「何か御用ですか」

「、よぅねぇちゃん。ここの住人かい?」


秋晴れだった空もすっかりその顔色を変え、いつの間にか雨も降りだしそうな暗い雲が頭上を覆っていた。


女は敵の注意を小屋の中から逸らすために、裏口から外に出て小屋の脇から姿を現した。案の定、敵は一斉に女に視線を向けた。
ざっと見て、三十はいるであろう天人の訪問だった。


「すいません、今裏で農作業の最中ですので、用がないなら帰ってください」

「こりゃ邪魔してすまなかった。ここにサムライ来なかったかィ?」


図体のある天人が、黄色い牙を覗かせて尋ねてきた。女は震えそうな声や体を必死に堪えた。


「…来てません。長い間この家にはもう私以外出入りしてませんから」

「そうか。悪かったネ」

「別嬪さん一人でこんな外れに住んでるの?逞しいねえ」

と、手前に出てくるのは天狗のような顔立ちの天人。


「、用がないなら帰ってください…!」

「ちょっと〜、つれねェなァ。俺たちが怖〜いおサムライさんたちからねぇちゃんを守ってやるよ」

「――ッ誰が、天人なんかにっ…!」

「おっと イッチョマエに女も攘夷かよ」



近寄ってくる天人に女は後退りをし、思わず強く吐き捨てるように言った。その言葉に天人たちはざわつき、笑い声まであげ始めた。


「ククク面白ェ。ちょいと来な。いっぱいイイ思いさせてやらァ」


天狗天人の赤く長い指が、女の腕を掴んで強く引いた。
女は身体中の血がさあっと引いていくかのように自分の身体が青ざめていくのを感じた。


「――嫌ァッッ」




―――ザシュウゥゥッ

「――ゥガアァッッ!!!!」




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