色は匂へど散りぬるを



「…真選組の屯所って広くてさぁ、なかなか捕まらないのよ。ほらさ、一匹見ると50匹いるとか言うじゃない。あの広さは倍の倍いるよきっと。だからちょっとここにいさせてもらおうと思ったの。ここなら二階だから大丈夫かと思ったしすぐ捕まるだろうし」

「つまり狭いって言いてぇんだろ」

「神楽ちゃんもいるし」

「エッヘン」

「いや、なんで威張ってんの」


ごんみ(名)の目線が自分に向かない事にイラつきながら銀時は言う。


「おめーさァ、江戸に住むってのはなァ、ゴキブリと同じ便器に座るのと同じなんだよ」

「あたし便器に座らないもん。しゃがむもん」

「そんなこと聞いてんじゃねーよ。そりゃな、お前のようなお城生活にゃ害虫なんて無縁だろうがよ。ここは江戸だ、我慢しろ。季節変わりゃすぐどっか行く」

「知らないの銀?ゴキブリはねぇ、1つの卵の中に5000匹の赤子がいるのよ、」

「いくらなんでも桁が違う気がしますごんみ(名)さん」

「いえ、常に問題というのは最悪を考えておくものですよ。大変なことになる前に仕留めないと新八くん!」


ごんみ(名)の目は鋭く、動いたり止まったりしている。その視線だけで標的を焼き殺してしまうようである。


「だから…ゴメンね銀」

「ゴメンて態度じゃねーだろソレ、何でそんな遠くにいんの」

「…別にわざと銀を叩こうとしたわけじゃないのよ、あのクソムシがあんたの顔の下に…」

「明らか悪びれてる態度じゃねーよな、何でこっち見ねーの、俺の顔にエキスついたから?」

「・・・ゴメンてば。…近寄らないで」

「オイ今ボソッと何つった。何だその手」


二人の間の机の上に、くたびれた愛読書がある。


「あーあ。おめーワニワニパニックみてぇにジャンプ使いやがってコノヤロー。コレ昨日出たやつなんだぜ、もう一回読み返そうとしたやつだったんだぜオイ」

「じゃあさ、あたし読んだから教えてあげるねっ事細かに」

「いらねーよ!」


酔いは冷めた。腹が立つくらいアルコールがぶっ飛んでいった。
帰宅直後の一発はかったるかった頭部を目覚めさせた。強烈だった。初めてだぜこんな二日酔い冷ましコノヤロー。


「………」

「…オイ」

「…(ソロリとジャンプを手に取る)」

「だからジャンプやめろっつの」

「じゃあ…ソレ(木刀を貸せと手招き)」

「ふざけんなおめー見てみろこの家の破損!ゴキジェット使えや」

「嫌だあんなよく分かんない毒煙」

「まともに吸わなきゃ人間は死なねーよ」

「吸ったらどーすんのよ」

「防毒マスクでも買ってくればいいじゃねー…」

ズガガガガン!

「撃ち取りやした総督!」

「よくやりました隊長!」

「てめーら戦場行け!!」




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あきゅろす。
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