色は匂へど散りぬるを


少年の去り際の罵言が癇に障り、少女はみるみる顔色を変えていく。

「キィーーーッ!!ムカつくアイツ!!なんで女がそんなにダメなの!?
いるじゃないあそこにも女の子っっ!」

喚き騒いで指差した先、他のこどもたちも一斉にその方向を向いた。


「……え?おれ?」

「ヅラぁ だから間違われるんだよ 取れ」

「ヅラじゃなぁい!かつらだ!女じゃなぁい!!カツラでもないィ!」

長い黒髪を束ね上げた縁側に座るこどもが甲高い声をあげ赤面した。

「…アレぇ?男の子」

「ヅラが女に間違われた〜ァ」

子供達がヅラと呼ばれた少年を見てゲラゲラと笑う。それまでの空気の緊張が瞬く間に解けていった。


銀髪の少年が横を見ると少女もその様子を見て楽しそうにケラケラ笑っている。

「あひゃひゃッごめん、間違えちゃったぁっ」

少年も釣られて微笑んだ。


「お前、遊んでやるよ」

「…え?」

「ともだちいねーんだろ。遊んでやる」

鼻と口をごしごし擦りながら、少年が少女に語りかけた。

少女の瞳と表情がぱっと輝いた。

「ほんと?!やったァ!!」

「来いよまた。
名前なんてゆーの?」

「ごんみ(名)っ!」

「ごんみ(名)。じゃぁ遊びに来るはいいけどさ、頼むから昼寝の邪魔はしないで」

口の周りを腕で擦っていると、少女の視線がじぃっと自分に止まっているのに気が付いた。

「……?なんだy――ぶほォッ!?」


庭に三度目のビンタの音が響いた。

「何すんのホントォォ?!何回叩けば気が済むんだよ!?」

「目、覚めた?」

「だからこれは元からだっつってんだろーーーーー!!!」





【泣きっ面に蜂】
災難の上に災難が降りかかること。踏んだり蹴ったり。




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