色は匂へど散りぬるを
5
待機していた信号が変わり二人は歩き始めた。広い横断歩道を多くの人が行き交う。
ふとごんみ(名)がコロリと声の調子を変えて言った。
「総悟、全然あたしのこと知りたがらないのね」
すると沖田が白い歯をニヤッと見せて、
「何でィ、掘り下げて欲しいんなら早く言いなせィ。いつ暴いてやろうかこっちはウズウズしてたんでィ」
「ちょっ…言っとくけど全部は話すつもりはないからね、」
それまでの爽やかな表情とは一変、中の黒そうな沖田にごんみ(名)はぞぞっと冷や汗を感じた。
「まるで後ろめてぇ事でもあるよーな言い草だねェ?」
「…何も後ろめたいことなんか。ただ、言いたくないことがあるってだけよ。誰にでもあるでしょー」
「じゃァ聞くのは野暮ってもんだろィ?」
「…え?…あれれ」
…びっくりした、警察だからいろいろ根掘り葉掘り聞かれるのかと思ってた。
「どーしたごんみ(名)、」
「総悟ってさ、…スゴくS」
「まぁそんな所でさァ」
「でもスゴく優しいS」
ごんみ(名)はそんな沖田に心底安堵するのだった。
…と、その時、
「待ァ〜つ〜アァ〜ルゥ〜!!!」
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