もしもペリーじゃなかったら
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すぐ近くで浮いた空気が漂っていた。
「何です?へイシー?じいは存じ上げないですが」
「なんじゃと?!さっき余がトイレ行くときお前に手渡したペットじゃ。かわいいナリをして憎めぬ顔してるケイシーじゃ。…て…てめーまさか…?!」
「……あぁ、トイレ行く前に預かったアレですな。アレな、アレだな。うん、きっとそうだ」
「だからソレをどうしたのだと余は聞いておる。そして今の間はなんだ」
「…アレ生きものだったんですか。まるで動く様子が無いから皇子のハンケチかと思いましたよわしはアッハハハ」
「アッハハハじゃねーよ。ハンケチって古ぃよ、余のハンカチはあんなに汚くないぞオイ。質問に答えぃ」
「………ベンチ拭くものかと思って置いてきました」
「なんじゃと!?ケイシーを雑巾に間違えたじゃと?!こんのクソジジイー!」
「てめーだってさっき汚いって言ったぞバカ」
「け…ケイシィィィ!はよ余のもとに戻ってこいィィ!!」
……。
「…ちょ、向こう行こうかエリザベス」
触らぬ神に祟り無しだと思った。
逃げるが勝ちだと思った。
あたしはそそくさとエリーの手を引いてベンチを立った。
「――あ〜、のう、そこのおぬしら」
…ぬをををを!!!?
「…ごんこ(名)、どこ行ったアルか…」
定春がさっきから微妙に嗅ぎ付けてるみたいだけど…
もしどこかで泣いてたりしたら私が許さないアルあのくるくるパー!
「――あッ!ヅラァー!」
「ヅラじゃないかつ」
「ごんこ(名)知らないアルかァー!?」
「…リーダー?」
「リーダーじゃないネ、ごんこ(名)を探してるアル!」
「いや、貴女はリーダー…」
「ごんこ(名)をどこに隠したァァァ??!!」
「ヴぐえぇッ、ちょ待て待て待てっ…落ち着けッ」
「どうせてめーも銀ちゃんとグルになってごんこ(名)に何かしたアルネ!許さないアルゥゥゥ!」
「ギャアァァァッごんこ(名)って誰だァァァ!?――」
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