もしもペリーじゃなかったら


声の主は銀髪天然パーマ。顔の向きはそのままで目だけでこちらを見る真っすぐな視線があたしとぶつかった。
彼が次に、黙って徐に右腕を上げ人差し指を向けた先、テレビはいつのまにかチャンネルが替わって夕方のニュースが流れている。


「…?」


テレビ画面に視線を戻しても黙りこくっている銀さんの所へあたしはじゃがいもを片手に持ったまま歩み寄っていった。


[――ご覧くださいこの爆煙!まさに今真選組がテロリストに対して攻撃を始めました!]


テレビの中では、どす黒い煙が立ち上る建物の前で女子アナが片耳に手をあてながら必死に状況を説明している。


[オラァてめえら逃がすんじゃねぇぞ!!今日という今日こそはとッ捕まえてやる!!
――おいそこの報道陣ら邪魔だァ!巻き込まれたくなかったらどけコラァ!]

[しかしっ、どんなに危険でもこれは仕事ですから!国民の皆さんに今起きている真実を報道し…キャアァァッ!?]

[ごたごた言ってねーでさっさとどかねぇとおめーらもまとめて叩っ斬るぞコルァ!]

[聞きましたか皆さん!今のが真選組の頭脳・土方副長の言うことでしょうか?!私たちは今とんでもない言葉を聞き…キャアァァァ!!!……]


ジャーナリズムを貫こうとするアナウンサーと周りの報道陣に抜刀した真選組副長。
…土方さん、さっき会ったばっかりなのに。大変だなぁ…


[――…ということで先ほどもお伝えしましたが、どうやらこのテロの主犯者は指名手配中の高杉晋助の一派によるものだという情報が入ってきていまして…――]



「Σなっ…」

思わず驚愕が声に出て、呼吸をするのも忘れてしまった。
画面に映った手配書は紛れも無くあの人の顔で…


[――ところが当の高杉はまだ姿を見せていないようで…]



「た…か…杉…」

声に出して呼んでしまっていた。自分でもそれに気が付かないくらいの弱い声で。

銀さんが突っ立ったままのあたしを静かに横目で見ていたのは言うまでも無い…。






NEXT CONTINUED


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