もしもペリーじゃなかったら


下部に記されている数字がついに最後を示した。あたしは一度手を止めたが、次に巻末の目次ページを開いた。

――銀、銀…

…銀……


縦列するタイトルを慎重に順に追っていったけれど、他に見慣れた作品名は並んでいるのに“銀魂”だけが無い。…今週は載ってないだけなのか。

あれこれ思考を彷徨わせながら一枚一枚ページを捲り、瞬きも忘れるくらいに視線を巡らせて関連語句を探す。けれどいくら探しても“銀”の字も無ければそれらしき挿絵も見つからなかった。


「………」


思わず言葉を失った。どういうことなのか。“本人たち”に聞けば一番手っ取り早い話だと、ふとソファーを振り返った。
耳をすませばスースーという寝息が聞こえる。そっと歩み寄ってあたしも向かいのソファーに腰掛けた。


「………」


ゆうべとは大違いだ。
万事屋にもこんなに静かな時があるんだって実感した。
細く開いた窓から入ってくる風が、銀髪をやわらかく揺らしている。


「………、、」


その様を眺めていると、無性に触れてみたい衝動に駆られた。あたしは徐に腰を上げて銀さんの顔の前にひざまずき、そっと銀色に手を伸ばした。


「―――///」


白銀の髪はうねうねと波をうち、触れる指の間をするすると抜けていった。男の人なのに髪の毛がこんなに柔らかいなんて。猫っ毛って、正にこういうものを言うんだな…

――あたしは今、あの人気漫画の主人公の天パを触っている。

銀髪をそっと指に絡めたり、撫でたりしながら、その髪の持ち主の顔へ視線を移した。――整った綺麗な顔。
つい昨日初めて会ったはずなのに、何だか親しみが込み上げてくる。


「…どーして銀魂に出てくる男の人はみんなカッコイイの…」


独り言になるはずだった。


「……どーいう意味」



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