もしもペリーじゃなかったら
2
「――…ん〜」
「アッ!!起きたアルか?」
――…起きた“アルか”…?
目蓋が開きたがらない、ぼやけた視界の向こうに赤茶髪の少女がはしゃいでいるのが見えた。
「あ〜、やっとお目覚めですかお嬢さん」
次いで気だるそうな低い声が聞こえて、見えたのはくるくるの銀……
「ごんこ(名)〜、具合悪いアルか?」
―――え
……アレ…
ぇ……ええぇえぇえええぇえぇぇえ?????!!
バッッ…
一気に目が覚めて飛び起きた。寝過ごして遅刻の危機っていう時よりもものすごい勢いで。身体に掛けられていた布団が大きく波打った。
「………」
自分を見つめてくる二人の人物を、あたしはもう一度確認した。
青くて大きな目のチャイナ服少女に、銀髪天然パーマの、死んだ魚の目の男…
いきなり万事屋到着ですかこのやろー!?
「オーーイ」
目の前でひらひらと振られた大きな手にはっとし、向き直って正座して、もう一度、正面の二人を見つめた。けれども、そこにいるのは紛れもなく…
この漫画の主人公・坂田銀時と神楽…
「……あの…あたし何でココにいるんでしょう?」
大方予想は付いていたけれども、驚きを隠せない。江戸に行くとは聞いていた、けれどもこんな、いきなり…
「そりゃァお嬢さん、俺達が聞きたいくらいですよ〜」
「ゆうべ夜遅く、私も銀ちゃんももう寝てる時間にあの人いきなり来たアルヨ、…銀ちゃん、名前何だっけ?」
虚ろな双眸がチャイナ娘を呆れたように見やった後あたしに向けられた。
「……お前さん、あいつとどーゆー関係なワケ?」
「…高杉、のこと?」
銀さんは嫌な名前を耳にしたと言わんばかりの表情をして、髪をわしゃわしゃ掻いている。
――あぁ、やっぱり高杉に連れてこられたんだ…
「びっくりしたアルヨ!!夜中に高杉が年頃の娘を連れてきたんだヨ!?」
「お姫様抱っこで〜」
音が出るくらいに顔に熱が上がってきたのを感じた。
「――ぉ…――お姫様抱っこォォ!?」
生まれて初めての、お姫様抱っこォ!?
しかもあの、あの高杉にィィ!?
…ダダッ…ダイエットしとけばよかった…!!!
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