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Novel
おまえのせい!(留伊)


ほう、とひとつため息をついた。
六年にもなれば授業のレベルも上がってくるもので、それに加えて今日は実習だったのだ。一日めいいっぱい身体を動かして神経を研ぎ澄ませ続ければ、それなりに疲れない筈はない。

「留さん、」
「ん?」
そうしてようやく部屋に戻ってきて一息付いたところで、伊作が声をかけてきた。
湯呑を両手に持って近付いてくる伊作の身体は俺以上にボロボロで、ああ、今日も不運だったんだな、と心の中で呟く。もちろん保健委員長と言うだけあり、もう手当はしっかり済んでいたけれど。
「はい、身体温まるよ。」
「お、ありがとな」
手渡されたお茶を口に含むと、疲れ切った身体にじわりと温かさが広がるのがわかった。緊張の糸がゆるむ。

だから、対応出来なかったのだ。突然声を上げた伊作の行動に。
「あ」
「ん?」
「留さん、怪我してる」

ぺろ、

「っ!?」
「ん、動いたら駄目だよ」

ぐ、と肩を抑えられ、反論する間もなく俺の頬にぺたりと這う舌。つ、と傷口を撫でられてゾクッとした。
「いさ…」

ぺろっ

「…っ///」
「…はいっ、これでよし!駄目だよ留さん、傷口そのままにしたら。…本当はちゃんと消毒したい所だけど、今日の実習で怪我しちゃった人多くて、調度消毒液切らしちゃってるんだ。まあ、一応唾液にも殺菌効果は有るし」
ね、と笑った伊作のその笑顔に危うく湯呑みを取り落としそうになった俺。ああ、ドキドキする。
どうせ伊作は何も考えずにやっているんだろうから、ため息が出る。無意識にこんな事をされては堪ったものじゃない。しかも好きな奴―…もとい、恋人に。
「…留さん?」
喋ると覗く舌から、嫌でも先程の温かい舌が頬を這う感覚が蘇る。
「伊作、」

ああ、確か今日は実習で疲れていたんじゃなかっただろうか。まだ風呂にも入っていないから汗臭いだろうし。それに、明日は筆記のテストがあった気がするのに、まだ勉強をしていない。
汗臭いのはしょうがないとして――よし、もしテストの点が悪かったら、伊作のせいにしてやろう。

そう決めて、俺は伊作の額に口づけて、顔を真っ赤にしてあわてる不幸委員長を、そのまま床に押し倒した。



おわり

なんかよくわからんことにorz

唾液…は、消毒効果あるのですか?(調べろ)



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あきゅろす。
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