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■嫁にきませんか?(フレユリ長髪ルク)



「ユーリ!なぁなぁ俺と手合わせしようぜ、今暇だろ?なっ!」


朱い髪がひらひら舞う。毛先が僅かに黄色い彼は不思議とユーリに懐いた。
傍若無人、世間知らずのお坊ちゃま。威厳や権威を振り回す姿に正直仲間内は嫌な雰囲気があったがそれを散らす役目は年長者のジェイドではなく黒髪の麗人ユーリだ。

女性にしては高い身長に戦術を持ち軍人ではなく個人の頼みからキムラスカとの和平の交渉に同行しているユーリとルークの出会いは偶然だった。
一瞬で魔物を仕留めた姿にルークは歓喜に震えすっかり懐いたのだ。

普段は不満ばかり口にするルークもユーリが少し注意をすれば止まる、戦闘中も勝手な行動を慎む。ティアやガイの言葉にも渋々頷くが鶴の一声となるとユーリだった。

キムラスカに向かう途中の山道で日が暮れてきて致し方無く野営を組む。本日の料理当番はアニスとティア、イオンは疲労から焚火を作るガイの側に居る。ジェイドは周りの魔物を蹴散らしてくると居なくなり木の枝、もしくはあれば食料をとりにきたユーリにルークが声を掛けた。
腕に抱えた枝を落とさないよう腰を上げ緩く首を傾ける。黒く艶やかな髪は日が当たると不思議と縁が紫陽花色に輝きとても綺麗だとルークは思う。思案するようにユーリが小さな息を逃がせば二人の間に割って入ったのは金髪の青年、フレンだった。


「ルーク様、手合わせなら私がお相手しますが」
「だーっ、あんたには言ってないっつーの!フレンは容赦無くくるから嫌だ」
「手を抜いた手合わせばかりでは貴方の為にならないと思いまして」
「いや、お前ちっとやりすぎだろ。ファブレ家の御子息になにしたんですか、とかまたジェイドに厭味言われるぜ?」
「そう?あぁ…家柄で守られていたいって話かな」


ふふ、と邪悪な笑みが広がりその言葉にブチッと元から低いルークの沸点を刺激した。
ユーリに頼んでいた時は木の棒を持っていたルークはそれを捨て剣をすらりと抜き幾分座った瞳でフレンを睨む。青い瞳を細めフレンも手にもっていた籠をユーリに渡し剣を抜く。
反射的に籠を受け取れば腕の中の木の枝が地面に落ち黒真珠が丸く瞬く。


「てめぇ、絶対ぼこる!」
「ユーリは渡さないよ!」

「どんな勝負だ!ガイ、ガーイ!」


どす黒いオーラが二人を包みユーリはルークの保護者を叫んだ。







ぱちぱちと火が爆ぜる。
夕食を終えれば顔に痣を作ったルークがぷいっと正面のフレンから目を逸らす。
若いですねぇ、と茶化すジェイドにユーリは息をはく。
ガイが来るまでに見事にのされたのは言うまでもなくルークでアニスがフレンに唇を尖らせる。


「ルーク様に手を出すなんてどうかしてますよぉ」
「ユーリに纏わり付く方が問題です」
「てめっ!ユーリはお前のもんじゃねぇだろ!」


アニスの非難をしれっと返し怒りにお椀を地面にルークがたたき付ける。中身は無いが硬質な音にティアが眉を寄せルークを肘で突き止める。
不満に唸りが止まなず朱毛を散らし唇を曲げる。慌ててガイが話しを逸らせようと口を開いた。


「そ、そう言えば何故フレンはついて来たんだ?ジェイドの部下だからか?」
「はい、私の意思でもありますが。…ユーリの側にいたくて」
「あはは、ユーリはもてますねぇ。どちらに行っても遜色ありませんし」


え?と皆が瞳を丸める。
ルークはキムラスカの皇族だがフレンは一軍人では?とジェイドに視線を向ければ亜麻色は揺らし彼は紅を瞬かせた。


「シーフォ家はカーティスやフリングスに並ぶ軍の名家ですよ。確か…何処かの公爵家の親族でもありましたね」
「「えぇーっ!」」


視線を逸らしたガイと知らなかったのか、と口にするユーリ以外は驚きにわき食事の肴になってしまったのだった。




ルークとフレンの仲が更に悪くなったのだが。







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あきゅろす。
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