不法侵入ご苦労様(フレ→→→←ユリ、ギャグ) 「ん…ぅ」 零れた声は小さい。明るい日差しが朝の到来を知らせている、カーテンの隙間からちらつく眩しさが瞼裏まで届き白いシーツに流れる黒い髪がきらきらと光る。 ユーリは未だ夢の中に居ながら思考を動かす。視界は塞がれた間々現実と夢の狭間で現在眠る場所を確認し起床を促すよう寝返りをうつ。 途端片手に何かが当たる。一人で眠ったベッド、ラピードは宿には入れず外に居る筈だから自分以外の何か、がある事はまずない。 そこまで考えていれば片手を掴まれる、咄嗟に動かない体のせいで取られた手が勝手に動き柔らかい感触が指先に当たり警報が鳴る。瞬間開かれた視界には寝ぼけが混じった金の親友が直ぐ入りユーリは声鳴き絶叫を飲み込み空いてる片手で金色の頭を殴った。 「い…た…いきなり何をするんだい、ユーリ…」 「それはこっちの台詞だ、何隣で寝てるんだよ」 「え?…あ、あぁそうだね…お早うユーリ」 「朝の挨拶を望んでるように見えたのか?フレンお前ちっと頭冷やしてこい」 「んー…」 「って二度寝の体勢に入ってんじゃねぇ!手ぇ離せっ」 がつん、ともう一度殴ればまたもや非難を口にしつつフレンが瞳を開ける。空色は微かに潤んでる、赤みが混じるそれは完全に寝起きで普段はこれでもかと言う程はきはきしているわりに時に寝起きが悪かったりもする。神は完璧な人間を作らないものかもしれない、とユーリは感じる。 ぱちぱちと瞬きフレンが時間をかけ起床した、しっかりした眼差しを待ちユーリが再度同じ質問を投げる。掴まれた手は中々離れずベッドの中で攻防に向かう。 引き戻そうとユーリは力を込めるがフレンは頑なに離さずそれでも涼し気な笑顔で口を開く。 「ユーリがここに居るって聞いたから会いにきたんだ、遅くなったけどね。寂しかった?」 「いやオレが聞きたいのはまずなんで隣で寝てるんだって事だから、てぇか手を離せ、先に」 「ユーリ、いくら街中だからって鍵をかけないのはいけないと思うよ?易々入れたし無防備に寝てるから一緒に寝ようかなって…昔はよく一緒に寝てたし」 「今まさに危ないってのはよぉっくわかった、離せ」 空いてる片手を緩く震わせ顔面に向かって突き出せば寸前でフレンの手の平がそれを止める。 爽やかな笑顔は変わらずもユーリの渾身の力を込めても見事に押さえ込まれ両手を掴まれるはめになり眉尻が揺れる。 「わかってくれてよかった。あ、でも僕が来る場合は開けておいてね?まぁ鍵ぐらいで僕達の絆は阻めれないけど」 「てめぇ、いい加減にしやがれ!」 取り敢えず、絶対、今後は鍵はかける、なにがなんでも。 そう誓うユーリだが宣言通り鍵をかけても度々フレンはユーリの隣で寝ていたという。 (お前どうやってあけやがった…手を離せ) (合鍵を借りたんだ、身分を告げたら一発だったよ) (質悪い……もう親友やめようかな) [前へ][次へ] [戻る] |