行方知れずの恋(政→小)
恋したことが間違いなのか、愛したことが間違いなのか。問いの答えは、未だに見つかりそうもない。
名前、を、呼べば届いてしまう距離だった。いつもそうだ、自分と彼との距離は悲しい程に近い。
「小十郎」
「は」
「……何でもねぇ」
触れようと思えば、この指先は彼へ容易く届くだろう。彼は自分を決して拒まないし、警戒もしない。
だが自分は、彼のその瞳がひどく甘く輝くときを知っている。声がいつにないまるみを帯びて、やわらかく転がるときを知っている。そしてその全ては、自分ではない相手へとただ向けられる。知っている、知ってしまったのだ。
だって自分はこんなにも彼を愛し、見つめ続けてきたのだから。
「なぁ、こじゅうろう」
「何ですか?政宗様」
「…Please love me」
囁くように零した言葉に、彼が首を傾げる。意味はきっと通じていないに違いない、彼は異国語にあまり明るくない。
「政宗様、小十郎は異国語は分かりませんと何度申し上げればよいのですか」
案の定、困ったように眉を寄せている。いいんだ、意味なんてわからなくて。伝えようだなんて思っていないのだから。ただ、諦めきれないだけで。
「大したことは言ってねぇよ、気にすんな」
笑って告げれば、多少不満そうに、だがそれでもそれ以上問いを重ねることなく彼は引き下がった。そう、大したことでは無いのだ。少なくともお前にとっては。
この恋の行く先も知らない
こんなので実は両想いだったら楽しい。でも輝小でもいい。
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