お揃いの薬指にキス(政小)
現パロ



背筋をじりじりと不快な熱が灼いていた。空はほのかに灰色がかった鮮やかとは言い難い青色で、太陽は薄くばらまかれた雲の隙間から地上を見下している。
風は生ぬるく、なけなしの気力さえパレットナイフのような何かが容赦なくごそりと抉りとっていく。

(嗚呼ちくしょう、)

退屈しのぎにくわえようとした煙草は、残数0。その上タイミング悪く、ウォークマンまで電池切れを訴えてきた。仕方なく邪魔なだけのイヤホンは、その場に投げ捨てておいた。きっとそのうち同居人が拾うだろう。


「暇、だ……」


素っ気ない部屋の素っ気ない白いソファーの上にだらりと寝そべったまま、たいした変化も見られない空を隻眼で見上げる。呑気に飛び去るスズメが何故だか不愉快だ。


「恋人放って、何してやがるあいつ」


テレビを見たいが、リモコンを取るのも面倒で。何よりこの退屈を消してくれるのは、テレビでも何でもないのは分かりきっている。
今、一番欲しいのは、年上のとびきりイイ男。左の頬に傷を持った甘やかし上手のあの男でないと意味がない。


「帰ったら膝枕の刑だな」


あの硬い膝枕で、優しい指先を感じながらダラダラするのは決定だ。苦情も不満も受け付けない。本格的な意地悪は、まとめて夜にしてやろう。ああでも夕飯くらいは、作ってやってもいいか。
ぼんやりと最高に格好いい男を、最高に可愛がる計画を立てながら小さく笑う。
仕事の都合なんかは知らないふり。甘え倒せるのは年下の、いや自分だけの特権なのだから。


「早く帰ってこいよ、My sweet」


ニヤリと笑って、薬指のシルバーリングに口付けた。内側に刻まれたイニシャルは、K・K。M・Dのリングは、恋人の薬指に煌めいている筈だ。
薄い雲越しの太陽に翳すと、キラリとリングが一度だけ笑ったような気がした。





…政小?うん、きっと政小(爆)
とても不完全燃焼な出来ですねorz

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あきゅろす。
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