ただいまMy home(幸佐)
今回の仕事は、簡単だが面倒だったな。と、烏につかまり空を飛びながら佐助はぼんやりと思った。もう一か月も幸村の顔を見ていない。
団子を食べ過ぎていないだろうか、誰が髪を結ってあげたんだろうか、鍛練ばかりで仕事をうっかり溜めてやしないだろうか、また恒例の殴り愛で何かを壊してないだろうか、好き嫌いしてないだろうか、考え出せば不安要素は募るばかり。
お土産の団子を買って、早く帰ろう…。少し苦笑して、烏を急かす。佐助の頭上でヤレヤレとばかりにカァと響いた声が何だか可笑しかった。
「だーんなー、旦那ー?」
ひょい、と、幸村の部屋に天井から降りても誰もいない。今は昼間を少し過ぎた頃。本来なら、そろそろ鍛錬を終えて仕事をしている筈だ。
硯が乾ききっていることと、仕事の後は散らかり放題の机が綺麗に整えられていることから幸村が部屋に戻っていないことが分かる。
ならばどこにいるのか。幸村は基本的に馬鹿だが、仕事はできる。そして真面目だ。そんな幸村が仕事を放り出す理由は、大抵が鍛練だった。
「やれやれ…。こりゃ、お土産はおあずけか?」
鍛練場を覘けば、予想通り槍を振るう幸村の姿。熱心に槍を振るう姿は、いつもよりもどこか凛々しく見えて何となくくすぐったい気持ちになる。
声をかけるか否か少し迷っていると、気がついたらしく幸村の方から声をかけてきた。
「おお、佐助!戻ったか」
「へへ、ただいま。旦那」
「うむ、よく無事に戻った」
にこにこと満面の笑みを浮かべる幸村からは、先ほどまでの凛々しさなんてほとんど感じられない。それが見慣れた身には何故か微笑ましく見える。
そんな幸村の変わりように佐助自身も知らず笑みをこぼしつつ、帰ってきたんだという実感を深めた。
「ま、あれくらいの任務、俺様なら楽勝だしね。そうそう、これお土産」
「む?!これは…団子か!!」
「そ。評判良かったから買ってきちまったんだよね〜。て、こら!物を食べる前には手を洗う!!いつも言ってるでしょーがっ」
「い、いや、団子が早く食べてくれと某を急かすから…つい!」
「言い訳しない!ほら、早く手を洗ってくる。グズグズしてると、俺様が全部食べちまうぜ?」
「それはならぬぅぅぅう!急ぎ手を洗ってまいる故、待つのだ佐助ぇぇぇええ」
絶対先に食べてはならぬぞ!と念を押しながら、手を洗いに走る幸村。情けない姿だと思いつつも、浮かぶのは呆れではなく温かな感情。
手に持った大量の団子の包みを一瞥し、唇にやわらかい笑みを刻んだ。
「こんな大量の団子、俺一人で片づけられる訳ないでしょーが。ほんと、旦那ったらお馬鹿さん」
やれやれと優しい溜息をついて、お茶を淹れるために佐助も鍛練場を後にする。
のどかなお茶会の始まりまで後少し。
了
待て私。これはほのぼのだ、甘甘じゃない!ので、強制的に糖分注入。
おまけ
「やはり佐助の淹れた茶が一番美味いな!」
「そーいうもん?お茶なんて誰が淹れても同じでしょ」
「何をいうか!佐助の茶が一番美味い。飯も佐助の飯が一番美味い!!」
「…俺様、忍なんだけど」
「無論。佐助は某の忍だ」
「うん」
「そしてお館様と同じくらい大切な存在だ」
「うん……って、ええ?!」
「佐助が居らぬ間、寂しかったのだぞ」
「え?あ、え?」
「任務故仕方ないと分かってはいるが、矢張り佐助がそばに居らぬと寂しい」
「……旦那」
「ん?」
「…旦那の破廉恥」
「なっ?!そ、某のどこが破廉恥だと?!」
「あーもー、全部!」
「あっ!こら、佐助!言い逃げをするな、佐助ぇぇえ!!!」
「…まったく、これだから天然はタチが悪いんだよ」
…ごちそうさまです。
甘々?(汗)と、とりあえず時間かかりすぎましたが、甘幸佐完成いたしました星羅様ぁぁあ!リクありがとうございます、非常に嬉しかったですvよろしければお受け取りくださいませ!
返品作り直し苦情いつでも受け付けます!(汗)
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