B




「すっげカミナリぃ!こえーこえー!」


次の日は豪雨だった。
田島のやつが嬉しそうにカミナリを怖がっている。
部活のことは頭から抜け落ちてるに違いない。
反対に俺は不機嫌だ。
だって今日は間違いなく練習が出来ない。部活、あったとしても筋トレとストレッチといつもの瞑想を軽くやって終わりだろう、きっと。

今日は部活休みだな、と横にいる花井が呟いた。
休みだな。と決めつけて言ってるあたり、花井はどうやら、休みであるほうを期待している。キャプテンのくせに。

本来違うクラスの田島が、ここ七組の教室にいるのは、今日の部活の予定を聞くためだった。田島だけじゃなく、他の奴らもちょろちょろとやって来る。

そして泉もやって来たが、俺はとりあえずナチュラルに無視をしてやることにした。何となく。

でも、目を逸らそうと顔を背けた瞬間に、気付く。




──ああ。

と、俺はそのとき、泉に言われたことの一割くらいを理解する。


そうだ。無視できんのに。
田島も花井も泉もこうやって。
机の上に頬杖をつきながら、見たいとも思わない曇り空を眺めながら。
次の授業のこと、放課後の掃除当番のこと、今日日直だったことを思い出しながら。
明日晴れたら、朝練の前にグラウンド整備をすんの大変だな、なんて考えながら。

野球部連中の、どーでもいいような話を右から左へと聞き流しながら。

そのとき俺は、花井が田島が、泉が栄口が他の奴らが、どこに立って何を喋っているのかなんて、意識もしていなけりゃ考えてもいない。
取り立てて確認しようとも思わないのに。


それなのに。


あいつだけは。
どこにいても、何もしゃべんなくても。
視界の中に入ってなくても。


わかってしまう。



「…あ あああの」



そら来たぞ。



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あきゅろす。
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