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あるときあるところにいた僕の話。


少しだけ、前世の話をしようと思う。





あるときあるところにいた僕の話。





仕事を生きがいとして家庭を見もしない父、そんな父を見もせずに遊びまわってばかりの母。物心ついたときから双子の兄と一軒家で2人暮らしで、2人だけで生きてきたも同然だった。毎月200万の金が振り込まれていたため、生活に困ることは無かった。


でも、その環境は僕の兄を・・・・・・時雨を、狂わせた。


彼は世間で言う『天才』というもので、周囲からの期待が大きかった。それも関係していたのだろう。

異変に気づいたのはいつだったか、嗚呼そうだあの時。いきなり母親が僕と時雨の住む家にやってきて、何を思ったかは知らないが僕に殴りかかってきた。確か中学1年生の夏。抵抗する術も無くされるがままに殴られて、気が済んだのか僕を放置したまま夜の街に繰り出していった。しばらくして買い物に行っていた時雨が帰ってきた。事情を話したら彼は怒った。「大丈夫」と言おうと思っていたのに声にならずに消えた。

手当てをしている時雨の瞳に、確かな殺意と狂気が映っていたから。

そういう環境で育っていたせいか僕は同い年の子供よりも大人びていた。それは時雨もだったけれど。そのせいか、体は動かずとも思考回路はどんどん回る。

混乱した頭に浮かんだのは、「時雨はヤンデレというやつなのではないか」ということだった。




生まれて初めて時雨に恐怖を覚えた。



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あきゅろす。
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