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負けたわけではないけれど。


「此処?」

「そうじゃないかな」


私達の城ほど大きくはないけどけして小さいとは言えない大きさの建物。思っていたより分かりやすい場所にあった。


「幹部全部殺っちゃえばいーかな」

「・・・そー、だね。うん、そうしようか。でも誰が幹部かなんて分かんないから手当たりしだいみんな殺っちゃおう」

「りょーかい」


頷きあって足を踏み入れる。その瞬間、救急車のサイレンのようなけたたましい音が鳴り響く。これで侵入者の存在が知られてしまった。別にかまいやしないのだけど。むしろあっちから来てくれるなら大歓迎。


「知られちゃったね」

「いんじゃね?好都合だって思ってんだろ」

「うん思ってる。ここからは2手に別れようか」

「此処のボスの前で待ち合わせしよーぜ」

「いいね。じゃ、」

「「Ci vediamo!」」


さぁ、はじめようか。









「・・・・・・よわ」


ベルと別れた後、襲い掛かってくる奴らを体中に仕込んであるナイフで心臓に突き刺す。城の人間より強かったが、今この場に立っているのは私1人。殺した奴らの中には幹部もいたらしい。幹部のみが持つレシーバーを服に付けている人が何人か見受けられる。数は・・・3。一応持っていこうか。


『う゛お゛おおおい!!!!!!!!』


耳を劈くような声が壁に付けられたスピーカーから発せられる。驚いて集めていたレシーバーを落としてしまった。壊れていないか心配になったがそのときはそのときだと言い聞かせ再び拾う。


『侵入者へ告ぐぞぉ。ティアラのガキは預かった。返して欲しければ談話室へ来い!!』


プツリ、という音がしてそれっきり音は発せられない。ティアラのガキ・・・ベルのことだろうか。私もティアラしているのだけど。まるっきり悪役のセリフだよね。ベル捕まっちゃったのか。殺されていないといいけど。てゆーか談話室って何処。


「君が侵入者かい?」


背後から幼い声。自分もまだ十分に幼いけど。振り返ったそこには自分よりも低い位置に頭がある赤ん坊と呼ばれる類の生き物。被ったフードの上には蛙が乗っている。アルコバレーノ、バイパー・・・否、マーモン。


「そう。ねぇ、談話室って何処?」


いつもの無表情のまま問いかける。マーモンは私の手にあるレシーバーを一瞥した後、「こっちだよ」といい歩き出した。多分私を迎えに来てくれたのだろう。










ドアから現れたのがまだ幼い子供だと、しかも女だということに驚いたのか銀色の長髪    S・スクアーロは少し目を見開いている。談話室にいたのは漫画に登場していたマーモン除く幹部メンバー。XANXUSもいたのには驚いた。彼らを一瞥し、傍にあったテーブルに持っていたレシーバーを置く。その後再度S・スクアーロを見ると、足元に血濡れの金色    ベルがいるのが見える。肩が微かに揺れているので息はあるようだ。


「あら・・・随分可愛い侵入者じゃなぁい」


沈黙を破ったのはサングラスをしたオカマ    ルッスーリア。くねくねしながら寄ってきたので抱えていたマーモンをぎゅっと抱きしめる。そんな私を見て、マーモンはルッスーリアに静止の言葉をかけてくれた。


「テメェが侵入者かぁ?」

「・・・・・・・・・・・・そう。もう少し声のボリューム、落としてくれない?そんなに大きくなくても聞こえるから」

「んだとぉ!!」

「るせぇ」


パリーンといい音がしてXANXUSが投げたグラスがスクアーロの頭に当たる。


「おい」

「・・・・・・何」

「敗者は強者の下につく」

「・・・その子は、」

「テメェに任せるだそうだ」


ベルが、私に任せると言ったのか。・・・いや、もしくは脅された?どっちにしろヴァリアーに入るのは賛成だろう。なら返事はこれしかない。彼の前まで歩き、跪く。


「貴方に、忠誠を」




負けたわけではないけれど。




ヴァリアーに、ボンゴレに。

・・・・・・XANXUSに。




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あきゅろす。
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