[携帯モード] [URL送信]
怪我はしてほしくないけれど、


結果だけ言うと、雷戦はヴァリアー側の勝利だった。ただ原作と違い大空のリングは動かなかったが。「沢田綱吉氏側の雷の守護者が生命の危険にさらされていたため、今回の事は妨害とはみなしません」、だそうだ。リング争奪戦はあくまで『リング』を賭けた戦いであり『命』を賭けた戦いではないのだ、ということだろう。つまり、今1-1の状態である。

ベルには全力で、『殺さない程度に』行けとのボスからの命が出ている。ぶっちゃけ嵐戦の結果がどうであろうと計画に支障はない。だからこその全力で、なのだろう。

争奪戦の順番は、晴れ・雷・嵐・雨・霧・雲・大空の順で行われる予定だ。この順番は私達が話し合って決めたものだ。

晴れ戦は結果がどうであろうと関係は無かった。ただ、『暗殺部隊』が相手なのだと認識させるためのものだったのだ。ルッスーリアはこう言っちゃなんだが幹部の中でも弱い部類に入る。強さを見せ付けて「ルッスーリアは幹部の中でも弱い部類に入る。他の奴らはもっと強えーぞ」。コレを黄色に言わせることに意味があったのだ。

雷戦はレヴィが勝つこと前提で計画が立てられていた。いくら守護者に抜擢されたとはいえ、相手はまだ5才。10年バズーカを使ったとしても勝てはしないだろう、とレヴィ自身も思っていたのだろう。だからこそ20年後の彼に負けかかって感情的になってしまった。

そして、嵐戦。ここに嵐を置いたのにも、ちゃんと理由はある。


雲雀恭弥だ。


彼が帰ってくるであろう場所は、校舎内がよかった。だから私が頼んだのだ。何故、と問われてもなんとなく、としか返せないのだが。ただ、あの登場シーンが僕は好きだったから。

もちろんそれだけじゃない。建前の理由としては、「ベルが傷を負わされ血を見ないとも限らない。ならもしもに備えてリングがどう動いても問題ないようなところに」だ。建前となっているがこれも立派な理由だ。










と、いうわけで嵐戦。

・・・・・・・・・の、前。


「派手にやってるねベル」

「また覗き見かよマーモン」

「任務の度にご当地の殺し屋消して遊ぶのよくないよ。裏社会の政治が無駄にこんがらがるだろ?」

「政治なんて知ったこっちゃないって。だってオレ王子だもん。なー、フェル」

「・・・・・・同意を求められてもなー」

「ヴァ・・・ヴァリアー!!貴様よくも弟を!!」

「おっ来た来た。弟をやれば来ると思ったんだよね。売り出し中の殺し屋兄弟だし」


兄弟愛、かな。嫌いじゃないよ、そういうの。好き・・・ってわけじゃないけど。どうしても僕は好きになれないんだよね。


「コレオレの武器ね」


スパッと肉が切れる音がする。慣れたとはいえ、見ていていいものじゃないな。殺すのが嫌いなわけじゃないけどさ。


「・・・・・・マーモン」

「なんだい?」

「今日の争奪戦、どっちが勝つと思う?」

「・・・ベル、といいたいところだけど君がそう聞いてくるってことは何かがあるんだろ?」

「何、オレ負けんの?」

「分からない、けど・・・」


何ともいえない、か。実際に見たわけじゃないから原作のベルフェゴールの強さは分からないけど、ここにいる彼は弟ということを除いても強いだろう。出来るなら怪我はしてほしくない。私の我が儘だけど。










「逃げてどーすんだか?どうせ殺されんのに」

「あの時計の針が11時をさした時点で獄寺隼人を失格としベルフェゴールの不戦勝とします」


あと少しで11時。Dr.シャマルもリング争奪戦の詳細を知っているはずだからこさせない、なんてことはないだろうけど。ちらと沢田綱吉を見る。離れていても瞳が揺れていることが分かった。


「獄寺隼人、いけます」


そう言って彼の前に立った獄寺隼人は、漫画で見たよりもかっこよかった。





怪我はしてほしくないけれど、





そうも言ってはいられない。

でも、どうか。

そう思って拳を握りしめた。




[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!