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涙のあとに残るもの

夢ならどんなに覚めて欲しかったかわからない。
目を閉じて、次に目を開いた時にいつものように…
君が笑ってくれていたら…
私もあなたに笑えたのかな…




 




光との思い出がある公園のブランコにウチは1人でいた。
いくら泣いても泣いても涙は枯れる事はない。
ずっと想っていた相手
幼馴染でお互いに名前で呼び合い特別な存在だった…
少なくともウチにとっては…
でも…光にとっては違ったんや…


『あほ…すぎるよ…』


風が冷たい。
そりゃそうだ。今は1月。
暖冬とか言ってたくせに昨日から急に冷え込み出したんだ。
そろそろ家に帰らないといい加減風邪を引くだろう
学校を飛び出してから1時間半くらいたっているから光ももう家に着いているだろう。
そう思ってゆっくりと自宅へ向かった。


『もう…大丈夫や。何も考えんかったらええんや』


家に帰りながら何度も何度も自分に言い聞かせるように呟いた。


『ただいま…』


そう言うても返事は返って来おへん。
両親は共働きやし兄弟もおらん。
今日は遅くなるってオカンが言うてたからあと帰って来るんは8時過ぎやろう。
そう思ってまっすぐ2階に上がって自分の部屋に向かった。
こん時ウチはなんにも気付かへんかった

部屋に入ったとたん目の前にいた人物に驚いた。


「お前どこいっとってん」

『え?』


ウチのベッドに腰掛けてこっちを見てたんは紛れもなく光やった。
つい1時間半ほど前に光が告白されてるんを見てしまって光の顔見たくなくて逃げて帰ってきたのに…


『…な…んで…おるん…?』

「そんなことどうでもええやろ。それよりどこいっとってん」


今の光はものすごい機嫌が悪い。
なんで?
告白されて付き合うことなって嬉しいんじゃないん?


「黙ってんなや!どこいっとったんか言えや!」

『……公園……』

「はぁ?」

『だから…いつもの公園に…』


そう言ったウチの手を急に光が握ってきた。


『ちょっ…離してや!』


光の手を剥がそうと必死で手を振ったりしてみるがやはり男と女。力の差がありすぎてビクともせえへん。


「お前っ!こんなに冷えるまでっ。アホやろ!!」


急に光が怒鳴ったもんやからビクッって体が萎縮してしもた。


「お前が一緒に帰る言うから待ってたんやぞ!?」


光の言葉にウチは止まったはずの涙が溢れだした。
ウチより光は背が高いしずっと俯いとったから光はまだ気付いてへんかった。


『…なん…よ…。…で…チが…』


聞こえるか聞こえへんかくらいの小さい声。
光は微かに断片を聞き取ったらしく聞き返してきた。


「?なんて?」


『…何でウチが光にそんなこと言われなアカンのよ!』

「…紗世?」

『光に関係ないやんかっ!!ウチのことなんかどうでもええくせに!』

「……」

『もうウチに構わんといてよ!!構うなら彼女構ったりいや!!!!』

「!?」


こんなん言うつもりやなかった…。
ただ、光に合わせる顔もなくて自分が嫌で逃げ出してきたのに…。
自分の気持ちがもう伝わらへんからって光に八つ当たりしてるだけ。
ますます光の顔なんか見れへんくてそのままウチはその場に座り込んだ。


「紗世…お前まさか見てたんか?」


光の質問にただ頷いた。


『もう…ウチのことなんてほっといてええから…。幼馴染やからって気にせんくて…ええから…』

「っ…」


今度は光が黙ってしもた。
ほっといてなんて言いすぎなんかもしれへんけど…これでええんや。きっと。
じゃなかったら…いつまでもウチが光に甘えてまうから…。


『ウチかてもう中2やねんから1人で大丈夫やし。わざわざオカンらがおらへんからってもう来んくてええから』

「紗世?」

『…帰って…』

「………」


これ以上涙が溢れて来うへんように必死に我慢しながらウチは光を自分の部屋から追い出した。


パタン


ヘアのドアを閉めた瞬間グッと涙が溢れてきた。
しばらくしても光がそこを動くような気配はなかった。
そのことが余計に涙を溢れさせた。
必死で嗚咽が漏れないように唇をかみ締めながら光が去るのを待っていた。
きっとこんなことしてたって光には今ウチが泣いてることなんでバレバレなんやろうけど…。
ようやく光が階段を下りていく音が聞こえたと思うと我慢していた嗚咽も堰を切ってウチは1人ドアを背に座り込んで声を上げて泣いた…。





   







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前回の一応続きになります。なんかひたすら悲恋;そして光が酷い子になってしまってる気がするけどほんとごめんね光。
一応続く予定ですよ。あはっ。
この先の展開なんて管理人にもまだわかんないんですががんばりますよ。
最後まで読んでくださってありがとうございました。


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あきゅろす。
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