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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結

毎日、新しい鏡が作られるたびに、鏡の中の道も増えることになるのだ。

気の遠くなるほど多い鏡と鏡の中の道。
そのなかから目的の道を見つけ出し、そこに出るには細心の注意が必要だ。

星を伴って鏡道を歩きながら、
〈そういえば、初めて鏡道を通った時には、のぞき見をしているようでドキドキしたものだが〉
主夜が、ふとほほ笑む。

多くの人間は鏡の中に道があるなどとは思ってもみないのだろう。

こちら側からは丸見えだというのに、時として性行為までも鏡に映すのだ。

おかげで、今ではたいていのことを見ても、平気でいられるようになった。

〈ああ、あそこだな〉
桃子が気を利かせて、鏡のふちに美しい桃の花を飾ってくれたようだ。

「せい〜っ!あいたかったよ〜っ!」

鏡から抜け出たとたんに能天気な声がして、主夜はぐいっと押しのけられた。

「わっ…わあっ!黎(れい)さまっ!このような場所でおやめくださいっ!2日前にお会いしたばかりではっ!?」

いつも冷静な星が慌てふためき、キスしようと寄せてきた黎の顔を押しのけようとしている。

主夜の顔が引きつった。
「黎、やめろ。少なくとも俺の目の前では、許さん」

黎は主夜の言葉をまったく無視して星を抱きしめ、押さえ込んでキスの雨を降らせている。

主夜はため息をついて、二人から目をそらした。

黎は主夜の母親の里である、月山の跡取り息子だ。
月山も戸隠と同じ貴族なので、幼稚舎では一緒だった。

背丈は主夜と同じくらいだが、髪を見事な金髪に染め、穴のあいたジーンズにタンクトップ、ピアスにネックレス、能天気なおちゃらけた態度は、とても主夜と血のつながったいとこ同士には見えない。

キスの雨を降らせ終わった黎は、星を抱きしめたまま主夜に目を向けた。

「主夜、そろそろ星をボクにちょうだいよ」

「星は物じゃない。はいそうですかと、お前などに渡せるわけがないだろう」

「じゃあ、せめて夜だけでも僕のところに帰ってくるようにしてよ」

「星には好きにしていいと伝えてある。夜にお前のところに行かないのは、何か理由があるからだろう」

「それはそうよ。夜に黎のところなんか行ったら、次の日立てなくなっちゃうわ。それじゃ困るわよねえ、星」

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あきゅろす。
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