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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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「麻ももう年だ。環境が急に変わると辛いだろう」

「そうか…。別にかまわないよ。食事の支度くらい、僕がしてあげる」

「陰陽本家に寝泊まりすればいいだろう。星も俺もそうするつもりだ」

「だって、あの家、純日本家屋なんだよ。部屋はほとんど襖でつながってるし、防音もされてない。夜は星の声が筒抜けになっちゃうじゃない」

「きさま…」
主夜の顔に殺気が走った。

「僕の家を移すことも考えたんだけど…」
「そうすればいいだろう!!」

「狭いし、壁が薄いんだ。他の誰に聞こえなくても、鬼族の主夜には、きっと星の声が聞こえちゃうと思う。その点、主夜の家なら完全防音されてるし、広いからのびのび暮らせるじゃない。あ、僕の部屋はお構いなく。星の部屋に居候するから」

「…」

「主夜は、毎晩星の声を聴いて悶々として過ごしたいわけ?あ、皆で一緒に住むのが嫌なら、家だけ貸してくれればいいよ。君は陰陽本家に住めばいいし」

「自分の家があるのに、部屋住みをしろと言うのか!」

「あ、家を移す気はあるんだね」

〈こいつ〉
主夜が睨みつけると、黎はにっこり笑って見せた。

「ね?」

〈何が、ね? だ〉
しばらく黎を睨みつけていた主夜だが、やがて諦めたように肩を落とした。

幼稚舎時代から、黎の舌先三寸で言いくるめられてきたのを思い出したのだ。

「…わかった。一度空間を捻じ曲げなければならない。手伝え」

「さすが主夜!いいとも、何でも手伝うよ」

やたらに嬉しそうな黎が、自分とはまるで違う生き物に見える。

〈愛する者と過ごすというのは、そんなに嬉しいものなのか〉

「黎さま、主夜さま」
いつの間に来たのか、信也が主夜のすぐ後ろに立っていた。

「ご自宅をここに移されるのならば、清めが必要となりましょう。すぐに用意させますゆえ、まずは屋敷の中にて、ご休憩を…」

〜〜〜

陰陽本家には仏壇はない。

部屋の中にぐるりと巡らせた棚の上に、死んでいった術者たちの位牌が並べられているだけだ。

案内された位牌だらけの薄暗い部屋で、黎がもの珍しそうにあたりを見回した。

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