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「記憶」


長い間生きていると昔のことなんか忘れてしまうこともある…。


だけど僕は今まで戦って来た妖怪や出会った人物は決して忘れない。


忘れられるわけがないんだ……。


それなのに


「鬼太郎?どうした」

「父さん、僕何か変なんです」

「変?どこか具合でも悪いのか?」

「…いえそういう変じゃなくて」

「ん?水くさいぞわしとの間で遠慮することはない」

「………なんと言うか頭に何か雲谷がかかったみたいな感覚が」

「ほう?」

「何か僕、この長い間にとてもとても大切な何かを忘れてしまったみたいでそれが思い出せないんです。」

「うむ…何かの思い過ごしではないか?」

「……でも…忘れてはいけない事のような気がして……。」

「鬼太郎、少し疲れておるんじゃろここ最近色々あったしのどうじゃ昼寝でもしたら」

「………そう…ですよね考えすぎですね」
「ほれほれ横になってゆっくりと、久々に子守歌でも唄ってやろうかの?」

「やっやめて下さいよ恥ずかしいです」


何だか父さんが妙に優しく見える

いつも優しい父さんだけどいつも以上に…

まるで何かを隠したがってるかのようにも見える…。


でも目の前の父さんはニコニコしていて


「ほら鬼太郎、余計な事考えんで」

「は…い…」


父さん


何か


何か僕に隠している事があるんですか?


教えて


下さい


とうさん…


僕は忘れている


とても、とても大切な何かを


だから


隠さないで


教えて


教えて下さい


思い出させて下さい


と…う…さ…ん…




父さんの子守歌を聞きながら僕の意識は暗闇に吸い込まれていった。








「おやじ殿…」

「やはり微かに覚えておるようじゃの…」



END

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あきゅろす。
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