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神様代理人 梅雨ver(狐耳)完
V
数十秒後。
「…そういえば、あいつは日本語が苦手でしたね。」
「え、なーに?」
「いえ、なんでもありませんよ。」
「おじちゃん、神様なの?」
「ん?お兄さんはね、まぁ神様みたいなものだよ。」
「ほんと!?あのね、あのね!雨降らさないで欲しいの!」
そう。美嘉の願いは、アメフラシなどではなかった。雨を降らさないで欲しいという願いが、間違った状態で天上まで届けられてしまっていたのだ。
 つまんない仕事引き受けてしまった…。そう思った代理人であった。
「あのねあのね!今度の日曜日ママと遊べるの!ママ、ずっと病院だったからね!すっごくすっごく楽しみなの!」
代理人にお構いなしに、美嘉は喋り続ける。
「それでね、でね!だからね!日曜日にママと遠足に行くから、その時は雨降らないでほしーって、お願いしたの!」
明るく楽しそうに話す少女に、代理人は感心はしていたが、アメフラシではないと分かった時から興味は薄れていっていた。
「では、それはあなたの新しいお願いリストに訂正していれておきましょう。では。」
そう言って退散しようとした時であった。美嘉は少し俯きながらまた言葉を続けた。
「パパがね。ママはもうそろそろ、だからって言ってたの。ママ、ずっと前から病院にいて全然会ってないの…。」
「…。」
代理人には母という者の存在がよく分からなかった。輪廻転生を終え、気付いたら代理人となっていたため、家族や母などの感情は記憶に残っていなかった、
 美嘉は、きっと目を上げて言った。
「だからね。お願いです、神様。これママから誕生日にもらった指輪なの。美嘉の大事なもの。これあげるから、お願い。日曜日、雨降らさないで…。」
少し涙ぐむ美嘉。代理人はしばらく言葉が返せなかった。



しばらく経って、代理人は指をパチンとならした。
「あなたは大変運が良いですよ。お願いしたことがこんなにすぐに叶えてもらえる人なんてそうそういません。」
部屋にいた、アメフラシたちが消えていた。
「神様、ほんと!?美嘉嬉しい!」
「えぇ。」
そして、代理人は、少女の手の中にある指輪をとった。

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