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習作(消火器)
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それから後のことについては、よく知らない。私が住まいを移したというのも、その原因の一つである。
風の噂によると、あの後、例の女王の城に不気味な老婆が出入りするようになったという。また、森の奥深くで、女の歌声のようなものを聞いたという人もある。
私にはそれらが、森に消えた姫とどう関係しているのか分からない。もしかすると、全然関係ないのかもしれないが、それすら知らない。
だが、自分自身のエゴに過ぎないと知っていて、それでもなお、私は願わずにはいられないのだ。
可能性は、極めて低い。あれは姫の臓物ではないと、女王は知っただろう。そして当然、怒り狂う筈だ。
内臓を持ち帰れと命ずる人間である。憎しみもそれほどだったと考えれば、しつこく確実なやり方で、姫を追ったと思えてならない。仮に野獣から逃れられたとして、その時、果たしてあの少女が生き延びることが出来るか。
だが、もし叶うならば、生きていてほしいのである。女王の指先をも上手く潜り抜けて、何処かに生きていてほしい。
何の理由も無いが、そう思う。

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