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リレー小説第弐
3
「ローランド、では、後の事は頼んだぞ」ギルバート・フィリップスは手紙を封筒に入れ、そしてそれを伝書鳩に託した。次に彼は目の前の通信機器を起動した。「アルトゥール?」半秒程間があった。「何でしょうか」「何か良い事があったんだろう」「なぜそれを?」「……気にする事じゃない。それと――君には謝っておきたかった、今まで迷惑をかけて来た……」突然通信が途絶えた。ギルバートは眉をひそめた。椅子から立ち上がり、書斎のドアを開けた。「この臭いは……奴ら、下水道から入ったな」

 アルトゥールは怪訝な顔をして立ち尽くしていた。なぜいきなり通信が切れた? 今まで迷惑をかけて来た……何の話だ? ギルバート……あの男、もしかすると?
 背後で扉の閉まる音がした。「アル、いつも以上に無防備ね」
「警戒心なんて、そんなもの――」
「しかしこのステーション、初めて来たけど古いわね。ほら、これなんてすごい年代物よ」ゼノビアは部屋の隅の機械類を指差した。「これでも動いているなんて、とても信じられないわね」
「ああ……それが今回の鍵だ」
「こんなおんぼろが? とても信じられない」
「見た目で左右されちゃいけないよ――人間と同じさ、一見さえなくても中身は物凄かったりする。そうだ、『アッシャー』の事だけど、」「ここで話して大丈夫なの?」「大丈夫だ。で、あの事についてなんだけど、もしかしたら……ギルバート・フィリップスが怪しいかもしれない」「なぜ?」「さっき通信があったんだよ、彼と。『君には謝っておきたかった、今まで迷惑をかけて来た』とか言っていたんだ。これは怪しいよ。彼もこの建物にいるはずだ、気を付けないと」
「何かそれ以上の事は聞き出せたの?」「いや、いきなり通信が切れてさ。多分Jウェーブ辺りだ。きっともうここのどこかに侵入しているに違いない」「そう、ならもうのんびりお話ししている暇はないわね」「一区切りついたらたっぷり時間は取れる……さて、来たか」二人は身構えた。


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