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リレー小説第弐
2
一隻のテメレア級巡洋艦が通常では考えられないコースを航行しているのには理由があった。のっぺりとした船体を持つこの艦は、いわゆる潜水ステルス艦の類いである。その軍艦が、市街地の地下の大規模収束下水道管の中を潜航しているのだ。
 「まもなく、“ステーション”の直下です」
 「機関停止、上陸部隊には出撃準備の旨を伝えろ。Jウェーブを発信し、敵の連絡手段を断て」
 巡洋艦は全くの静寂の中、ゆっくりと浮上を始めた。コンクリート製の天井に背が擦れる。その微弱な振動をセンサーが感知したが、本部へと異常を伝える信号が届く事は無かった。
 少ししてから、暗黒の下水道の中が激しい光で満たされた。コンクリートが熔断され、ぽっかりと開いた穴に特殊部隊が吸い込まれていった。水面から飛び上がった精鋭たちは、水浸しになった部屋が何かの研究室である事を知った。
 「目標地点に到達した。これより実力により当該地を占領する。」
 「了解した。本艦が留まれるのは30分までだ……健闘を祈る」
隊長の合図で、灰色の潜水服を着用した戦闘部隊は行動を開始した。


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