[携帯モード] [URL送信]

リレー小説第弐
12
 南部独立同盟がステーションを襲撃し、リチャード・クーパー以下十三人のニュープラハ議員が拘束され、議長のいない議会はアッシャーの灯評議会と改称された。
 アドマスタは考えた。自分はギルバートにある程度信頼されている。筈だ。しかし、彼がどれだけの真実を自分に話しているだろうか。恐らく俺は殆ど何も知らない。
 この目まぐるしく変化する流れに、どれだけ自分がついて行けているのか、特に最近は不安であった。ギルバートの傍にいると、嫌でも彼の怪しい言動が目についた。問い質すような事はしなかったが、彼が何かを隠しているのは明白であった。
 そして……どうやら、自分はあまりにも深く首を突っ込んでしまったらしい。

 施設に戻ってアドマスタと話した次の日、アルトゥールは呼出を受けていた。受け取ったメモには、『場所:アドマスタ・ヤナティの書斎、注意、相棒には言わずに、“スコット・ウィリアムズ”』とだけ走り書きがされていた。
「入りなさい」中にはアドマスタはいないようだった。アルトゥールは静かに部屋に入った。
アルトゥールの知らない男が、重要そうな書類に目を通していた。「スコット・ウィリアムズだ。君と会うのは初めてだな?」「はい」「今日から私が君達の司令官だ。君達二人の事はギルバートから聞いているよ。優秀だそうじゃないか。そう言えば、ギルバートの事は聞いているか?」「……いいえ」「彼とアドマスタ・ヤナティは暫くの間休暇を取る事になった。本当に何も聞いていないのか?」「はい、何も」「それと……ゼノビア・ジェラルディーンについてなんだが……最近、彼女には疑いが掛けられていてね。わかっているとは思うが、怪しい行動に気付いたら、必ず私に報告するように。以上」アルトゥールが部屋を出た。
「アドマスタが気付いていた……ギルバート、自由に事を進められるのはもう限界だぞ」そう呟いたスコットの手には、ギルバートからの手紙が握られていた。


[*前へ][次へ#]

12/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!