『その時』が来たら(柚木)完
微睡みの中
音が聴こえる。
ローファーが地面を蹴る音、学生達の談笑、どこかの家のテレビが流すニュース番組のアナウンサーの声、トースターの音、それに伴う香ばしい匂い。匂い、といえば太陽の匂いもする。真昼のギラギラした匂いとは違う、まだどこかヒンヤリして、眠そうな匂い。
ああ、朝なんだ、と感じながら、もう一度微睡みの中に身を投じる。どんどん遠くなる、音と匂い。それでも太陽の光だけはまだ近くに感じられ、その優しい光に包まれながら、僕は再び眠りについた。
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