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彼等は反逆し得るか? (kankisis) 完
行進
 フォルザイルを蜥蜴に引き上げた男と、公王が話していた。
「目的地は東海岸か」
「あそこは唯の平原だ」
「しかし、神器も効かないとなれば、俺達は一体どうすればいいんだ」
「全く効かないという訳ではないだろう? これは俺の推測だが、奴の核は幾つかに分散されていると思うんだ。あんたが打ち抜いた頭の他に、例えば尾の付け根、背甲で守られた腹部、それに首元とか」
「どうして分かるんだ」
「俺は奴が骨格だけだった頃から見ているからな。その部分が盛り上がっていたというだけの事さ」
「となると、必要な神器は四つか。俺の槍とお前の剣、それと彼の盾。もう一つはどうする?」


 ギルナはレービスの北で、何か大きな物体が飛び去っていくのを目撃した。まさか、彼が知っていた訳は……
 その後、王立親衛隊は別の軍に出くわした。トスキールの軍旗と帝国の軍旗を掲げていた。
 彼らの話を聞き、ギルナは驚いた。「そんな化け物がうろついているのか、ここに!」しかし内心では、今まで何年も荒れていた心が、少し安らぐような気分になった。
「分かった。帝国はともかくとして、トスキールが助けを求めているというなら応じよう。一万程度の兵力で良ければ使ってくれ……しかし、国境合同部隊が全滅していたとは……」王立親衛隊の隊長が言った。


 飛び去った物を追う途中、空中砲台の残骸が見つかった。「あれを見ろ!」
「皆、近づくな!」
「撃て」
「よせ、撃つな! 様子を見るんだ」
 公王が残骸に近づいた。「何? 何があったの? 一体何なのあなた! そうよ、帝国軍に攫われて、それからずっと!」
「落ち着いてくれ、俺達は敵じゃない。俺達は帝国軍じゃないんだよ」
「……本当ですか?」
 公王が何か話している間、フォルザイルはじっと盾を見つめていた。
マルネッへ、ジルカ、リブレスが話していた。「あれはあの時のガゼルか」「ガゼル?」「ノメイルの奴らだよ」「どうしてこんな所に……」「帝国に捕まったんだろうよ」


「それでは、作戦を説明する」
 トスキールの陸軍将軍が全員に向かって声を張り上げる。「まず我々トスキール軍とネーズル王立親衛隊で敵を陽動、注意を惹き付ける。その間ローゲンの部隊は敵の背後に回り尾部の核をたたく。我々の先頭には義勇軍のフォルザイルが立ち、敵の閃光を盾で跳ね返す。その閃光で敵の核をさらに二つ破壊する。その間にガゼル部隊は敵を錯乱し、帝国部隊は撤退。最後に残った頭の核を、この槍で射抜く。以上だ!」
 公王が前に進み出た。「いいか、皆。昔、千年以上前、俺達の先祖はあいつと戦った。俺達と同じに。そして、勝ったんだ。その話は今まで語り継がれている。その時世界は一つにまとまった。そして、俺達も今、敵味方関係なく、一つにまとまっている。俺達はやれるんだ。今の俺達なら、奴を倒せる。そして、新たな神話に、末代までの語り草になってやろうじゃないか!」

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