彼等は反逆し得るか? (kankisis) 完
トルカセニレ島 トルカゾール コルト
グリオルトとイールドクは南南西の方角を注視していた。灯台は今やコルトを守る要塞となり、異様な存在感を誇っていた。
「すごい煙だ……」
「あれはエズス諸島だな」
パイクスタッフが駆け上がってきた。
「くそ、本当に来やがった!」
「帝国か?」
「ああ、間違いない!」
「位置に着け、急げ!」
フォルザイルはマルネッへ、ジルカ、ケウェレグ、ルクフォーア、リブレスと共にコルトの港を守っていた。警鐘が鳴り響いた。
「遂に来たか」フォルザイルは呟いた。
味方の艦隊は次々に港を出た。どうやら正面から突撃をかけようとしているようだった。
「さすがに無理があるんじゃないのか、あれは」ジルカが言った。
灯台要塞ではマラート、シスシャ、グリオルト、イールドクが敵の空中砲台を待ち受けていた。トスキールの空中砲台は既にパイクスタッフを乗せて飛び立っていた。
「あれはかなりの数だな。あれだけの砲台が全部ここまで来ると相当きつい」マラートが花火砲を見て言った。「トスキールのローバスルではこれが効いたらしいが……」
コルトの防衛線を突破した帝国艦が幾隻も港に入り込んだ。港の対艦砲が火を吹き、幾つかの帝国艦を沈めた。しかし、生き残った上陸船が勢いよく接岸し、大量の帝国兵を吐き出した。
敵の勢いに押され、港の兵は少しずつ後退した。
「一旦退くぞ!」
帝国兵は町中に侵入した。
「槍士隊、迎撃行動に入る」掛け声が入った。家々の間から槍士隊が飛び出し、帝国兵を迎え撃った。
「あれを追おう」ジルカが言った。一部の帝国兵が槍の間をすり抜け、更に奥へと入り込んだ。
鎧を身に着けた帝国兵はフォルザイルらに気が付いたようだった。大声を張り上げて襲い掛かって来た。力ずくでフォルザイルは相手の剣を払いのけ、兵士を押し倒した。そのまま剣を喉元に突き刺すと、周りを見回した。他の五人も、それぞれに処理し終わったようだった。
敵の空中砲台はコルト上空に辿り着くまでに、味方の砲撃で既にかなりの数が落とされていた。
「何としてもここで足止めするんだ。この先には国民と公王陛下がいるのだぞ!」トスキール人が叫んでいた。
「撃て」対空弾が放たれ、更に多くの空中砲台が撃ち落とされた。「暫くはこれで足止めできるだろうな。あいつらもそう迂闊にはこれ以上近づかない筈だ」マラートが言った。
「フォルザイル達は今頃どうしてるだろうね」
生き残った帝国兵は、更に奥地へと逃走したようだった。「逃がしてしまったな」リブレスが言った。
空を飛び過ぎた物体が、帝国の空中砲台を次々に破壊していった。「ノメイルの部隊ってのはあれか」ルクフォーアが言った。「強いな」空中砲台部隊は壊滅した。
灯台要塞からは帝国の大艦隊が後退する様子が良く見えた。望遠鏡を覗いていたグリオルトが口を開いた。「終わったな」
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