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彼等は反逆し得るか? (kankisis) 完
 ノメイル
「トスキール政府がノメイル政府に、我々を通して援軍を頼みたいそうです」トスキール方面担当第一外交官が口を開いた。
「なぜ私達に」ペスクトが言った。
「あっちはあっちなりに気を遣っているつもりだ」オドグは続けた。「ノメイルに行ってくる。和解のチャンスだ。ペスクト、外部対応部は任せた」


 オドグはソノス城の会議室で、ホルドレル・オーヴァワク外交省長官と向き合っていた。「ですから、我々の中に帝国のスパイが入り込んでいたのです。彼が、長官ギズ・リグゾを操り、あのような政策に捩じ曲げてしまったのです。……申し訳ありません」
「では、再統合の話は無しという事に?」
「はい。そして、是非とも我々王国と友好的な関係を築き上げて頂きたいのです」
「友よ、有り難う」
「いえ……国境の画定も急がなければなりません。これが、我々の暫定的な案です」オドグはホルドレルに書類を渡した。
「うん、こっちにとっても全く問題のない案だな、とりあえずはこれで行きましょうか」
「それと、これはあまり関係のないことですが、王国トルカセニレ島に現在亡命しているトスキール政府が、ノメイルの優秀な傭兵部隊を送って欲しいと言っているのです。お願いできますか? 長官」
「わかった。任せておきなさい」
 オドグは丁重に礼を言うと、会議室から下がった。


 自分の知りたい事は全てここにある……答えは自分だけが知っている……
 オドグは、用意された控え室でズヘニグの書類を再び眺めていた。
「全ては空を飛ぶ鳥のように、不確定であるか、そうであるべきか。それとも、運命の束縛を選ぶべきか、いや選べるのか。選べるとしたら、選択をするべきか。知ってしまった今、どうするべきなのか。提示された事を黙々と声さえ上げずに遂行するべきなのか。それとも、反逆するべきなのか。我々は答えを探らなければならない。アオフェルシュテフンク計画、ゲハイムニス計画、レヴォルト計画は全ての段階に於いて同時に平行して遂行されなければならない。全てを見る者、一度死にそして復活する者、反逆する者、生け贄となる者、放棄する者はそれぞれに揃った。引き継ぎは間もなく完全に遂行される。復活した大地で我々は唯成功のみを望む。神の望む事、それに対しての回答が計画の最後に与えられ、我々は安心するだろう、そして安息を、安らぎを得るだろう。……」
 オドグは紙をめくった。
「……レヴォルト計画、それは神に対する問い掛けである。鎖に繋がれ、縛られている者からの問い掛けである。それは、自らへの問い掛けでもある。……代償は支払われる。全てを見る者はその役割を果たす」
 これが自分の知りたい事なのか?

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