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彼等は反逆し得るか? (kankisis) 完
 トルカセニレ島 トルカゾール
 十一月の六日、既にゾール港に着いていたフォルザイルらは、トスキールの船団がトルカセニレ島に向かっているという噂を聞いた。「誰に聞いたんだ、そんな噂」「誰ってそんな」「本当に、彼らがこの島に?」「知らないのか? コルトが立候補したって話」「何に?」「本当に知らないのか?」「早く言え」「……ローゲン帝国が攻めて来るんで疎開する場所をこっちの外交官が探していたんだよ、それにコルトが立候補した」
 フォルザイルらは顔を見合わせた。
「コルトに戻るか? どうする?」ルクフォーアが言った。フォルザイルは返した。「おい、軍隊も来るのか? ……そうか、よし、コルトに戻るぞ」


 十一月の十八日、フォルザイルらはコルトに戻った。マルネッヘは、大艦隊が寂れた港に停泊しているのを見て声を上げた。「すごいですよ、これだけの船がここにあるなんて」
「今までなかった事だ」リブレスが言った。「フォルザイル、帝国はきっとここまで奴らを追ってこない。つまりもう戦わないということだ。これからどうするんだ?」
「とりあえずあいつらの話を聞こうか」
 ジャック・パイクスタッフと名乗った男は、その体格を見るにどうやら陸軍副将軍のようだった。「俺達の軍に入れろ、と……随分と無理な要求をするじゃないか……訓練は受けた事あるのか?」
「ある……全員、これでもな」
「別に問題はないが……公王様に聞いておこう」
「よろしく頼んだ」
 パイクスタッフはどこかへ去って行った。
「あれは空中砲台じゃないか! あんなのも持っているのか、トスキールは」マラートが言った。
「空中砲台?」ジルカが言った。
「信じられないかもしれないがガスで浮くんだよ、あれが。最初は俺もとうてい信じる事は出来なかった」


 ギャムディは驚愕した。一月前にいきなり押し掛けて来てもう会う事もないと思っていた集団が、またもや押し掛けて来たのだ。
「フォルザイル! もう会えないかと思っていたよ。どうして戻って来たんだ」
「部屋空いてるか」
「何日間だよ」
「暫く」
「支払いは」
「前と合わせて払う」
「またかよ、フォルザイル、こっちだって」
「こっちは十人だぞ。それに、今はトスキールの兵だ」
「ふん」
「どの部屋が空いてるんだ」
「三番から五番だ!」ギャムディは口惜しげな声を上げた。


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