[携帯モード] [URL送信]

マグの足跡(千葉)完
ムーンおうじょ
「あ…あなたが…あなたがムーン王女…」
「そ、そうです…けど」
間違いない。あの時、双眼鏡で見た顔と同じだ。
ついに―――ついに会えたんだ!
「あの…あなたは?」
「お、俺は…マグっていいます」
「『マグ』、さん…」
と、とりあえずいきさつを話さないと。
「そ、その、何と言うか…助けに来たんです」
「私を?」
ちょっと驚いたような表情を王女は見せた。
「そうです」
「……あ、ありがとうございます…でも、鍵が…」
「鍵…そうか南京錠が…」
鉄格子に目をやると、やや大きめの南京錠が掛けられている。
前みたいにやる訳にもいかないし…。
「鍵は、ヤマテノのという魔物が持っていますが…」
「ヤマテノのことは聞いています。やっぱり奴を倒すしかないのか…」
「で、でもそれは危険です!」
「いいんだ!俺は行く…色々と約束もあるんでね」
「約束?」
「あ、いや何でもないです! …この通路の先から奴の居場所に行けますか?」
「………一番奥の、向かって正面の壁に小さな石の出っ張りがあります。
それ右に引くと、左にある隠し扉が開くはずです。その向こうに…」
「ありがとうございます…そんじゃ!」
「! …お気をつけて」
マグは通路の奥へと走る。途中振り返ると、王女が心配げな顔でこちらを見ているのが分かった。
とりあえずは、笑ってみせた。大丈夫、何とかなる…きっと。
通路の奥に辿り着き、出っ張った石を確認する。手の平でそれを掴み、右に動かした。
すると、今まで壁と同化していた扉が音を立てて左にスライドしていく。
その向こうにまた扉が見えた。
赤い、鉄の扉だ。
(………なぁに。何とかなるさ。行くか!)
マグは、その扉を開けた。


[*戻る][進む#]

9/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!