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マグの足跡(千葉)完
STAGE3-1 クラーユ:ヤマテノへのみち
褐色の上り坂をひたすら登っていく。
道は思っていたほど険しくはなかったし、天候は曇りであったため暑くはなかった。
途中、目玉に羽の生えたようなモンスターや、赤色のサウルス(もちろん火を吹く)などに
追っかけられたりもしたが、基本的に一本道だったので、迷うことはなかった…のだが。
「げっ………」
歩いていくうちに、向こう側に岩の壁が垂直にはるか高くそびえているのが目に入った。
そう、そこは行き止まりだった。文字通り壁にぶち当たった訳だ。
(どうすりゃいいんだか)
辺りを見回した。
切り立った崖…というより、岩の壁が左右をも囲っている。ほぼ垂直だ。
今まで歩いてきた道を思い返した。目立った分岐点は無かったはずだが。
歩ける道を歩いてきたら、ここに着いた、といった感じだ。
「…何か、あるんだろうな」
とりあえずそう言ってみた。
そうでも言わないと自分自身動くきっかけが掴めそうになかったからだ。
袋から、ホシニクを一枚取り出した。
そのまま口に入れた。噛む度にやや渋みのある、独特の味が広がった。
「さて」
若干の空腹を満たした後、もう一度岩の壁に目をやった。
とてもじゃないがこの崖、登れそうに無い。
だったら、何か仕掛けはあるはず…あって欲しい。
ガンッ! 壁を蹴った。ガンッ! こんどは壁を殴る。
「こういうのは叩けば何か分かるんだよ!」
半ばヤケクソで、片っ端からその壁を殴る、蹴る。
ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ…カンッ!
「おっ」
ある場所で音が急に軽くなった。
「やっぱり怪しいな…」
地面に目をやる。ちょっと大きめの石が落ちているのが目に入ったのでそれを拾った。
石を握り、右腕に思いっきり力を込める。
「こうしてやるか!」
ガァン! 思いっきり壁を殴った。石の先端がぶつかったところに裂け目が入った。しめた。
今度はそこをほじくるようにひたすら石でつついた。
裂け目がだんだんと広がって行くのが分かる。
裂け目が充分に広がった後、石を捨て、最後に一撃、握り拳を叩き込んだ。
「……いったか!?」
バラバラと音を立てて壁が崩れ落ちていく。
あたり一面に散った埃が静まるころには、壁に隔てられていた洞窟の入り口がそこに現れた。
「よし! 全く、手の込んだことしやがる」
右手の甲を擦る。流石にちょっと痛かった。
「ん?」
後ろが何やら騒がしい。…サウルスの鳴き声だ。
「もうケツに火を点けられるのは御免だな、っと」
とりあえずは、その洞窟の中へと走った。

最初は暗いと思われた道だが、進むにつれ徐々に明るくなっていった。
火の灯された蜀台がちらほらと見受けられる。
(やけに静かだ…)
敵がいる気配は全く無い。自分の足音と、火が揺れる音が反響する。
ちょっと歩くと、白いタイルの床が見えてきた。奥までその床は続いている。
やっぱりこの先に…。そう思ってタイルの床に足を踏み出したその時だった。
パカッ。
何かが開く音がした。下を見ると、見事に真っ暗。
そうか、落とし穴―――
「何でこんな古典的なものおおぉぉぉ!!!」

…………………。

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