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縹(禮晶)完

神仙の世界で暮らしてはいたものの、縹は人間である。
乳飲み子の頃に霊山・翔鳳峰の麓に捨てられていたのだ。
捨てられていた乳飲み子を憐れんだ翔鳳峰の主・翡(ヒ)はそのままその子を自分の養い子にしてしまったのだと言う。
神仙が人間なんぞを養子にするなど…とかなり批判を受けたらしいが、翡本人は馬の耳に念仏だと言わんばかりに受け流して今に至っていた。
縹は翡から並一通りでなく学問も武術も仕込まれ、更には素質があった為に神仙と同じ様な術も使えた。
確かに最初こそ風当たりも厳しかったが、神仙の世界は割と実力主義であり、徐々に認めて貰える様になって来ていた。
……段々と自分が認められて行くのは嬉しかった。
そして何よりも翡が自分を褒めてくれるのが嬉しくて、縹は修行に明け暮れた。
今思えば何と穏やかで、幸せな日々であった事か……

だが、そんな幸せはある日、一瞬にして瓦解した。
翡が殺されたのである。


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