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妖(和麻)完
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「各地の妖怪がここに集まってきているだって?」
天花は叫んだ。話し相手の妖怪が突然の大音量に仰け反った。天花は昨日の出来事が気になって、噂などの情報をよく知っている語り屋を訪ねたのだ。
「そんなに驚かなくてもいいでしょう。何せ最近は探さなくても獲物が見つかるぐらいですからねえ」
「何故だかわかるか?」
必死の形相で天花が問う。妖怪はまあまあと天花を宥めて話を続けた。
「そりゃあ、あの妖力のせいでしょう。あれは十数年前から何度か確認されていましてね。それがここ一週間にかけて一気に強くなったんですよ」
「昔から確認されている?」
「ええ、あの妖力は今と違って弱かったけれど昔から人間世界から確認されているということで少し気にしていましたから」
十数年前、人間世界、そしてあの妖力。どれも勇人に関係するものであった。天花はそれに気づいてひやりとした。それから天花の頭の中に一つの仮説ができた。
「そんなことより、そろそろ旦那も遠くに避難した方がいいですよ。あの妖力を辿って化け猫の「雷(ライ)」が来たらしくてね。流石に旦那も敵わないでしょうよ」
雷は妖怪の中でも屈指の強さを誇り、人間に化ける獰猛な妖怪だ。
 天花は途端に青ざめた。天花の仮説が正しいとしたら勇人が危ない。語り屋に碌な礼も言わずに天花は飛んで行った。


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