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妖(和麻)完
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 それから、天花は勇人と共にいる事になった。だからといって四六時中勇人の周りにいる訳ではなかった。ふっと消えてはふっと現れたり勇人の学校に付いて行ったりと勇人を観察するというよりは人間世界を見て楽しんでいるように見えた。天花は勇人にいろいろな話をしてくれた。
「えっ、妖怪って共食いすんの? 怖っ」
二人が出会った日に天花は捕食活動をしていたという話を聞いて勇人は青くなった。勇人は他人を傷つけることに関する単語が出てくるたびにいやな顔をした。争いなんかしてまで何かを得たくはないといわんばかりに。
「甘いな。そんなんじゃ生きていけないぞ。戦わなきゃいけない時だってある」
確かにそうかもしれないと勇人は思ったが本当に「戦わなきゃならない時」なんてない上、考えたこともなかったため素直に頷けなかった。
「それより俺が強い妖力の方へ行ってもお前しかいなかったことの方が怖いから」
「えっ、あの時は俺以外誰もいなかったぞ」
沈黙。二人は曖昧に顔を合わせた。そのままぎこちなくアハハと笑ってと話題を変えた。

草木も眠る丑三つ時、普段ならとうに消えている勇人の部屋の明かりが点いていた。
「あー課題が終わらない! 天花何とかしてくれ」
「何とも出来ねえよ。自業自得だろ? もう諦めな」
そこには白紙の課題用紙を前にしている勇人と呆れ返っている天花がいた。妖怪は眠らないため勇人がうたた寝をするたびに叩き起していたが、全く進まない。
「当分終わらなさそうだし、ちょっと捕食活動に行って来る」
待ったという勇人の引きとめも空しく天花は愛想を尽かして窓から出て行ってしまった。天花が出て行ってからしばらく経ったがやはり用紙は半分も埋まっていない。手を動かしても動かしても進まない状況でまた勇人の癖が出た。


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あきゅろす。
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