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妖(和麻)完
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 天花は木に腰掛けてぼうっと先程まで話していた少年について考えていた。
(あいつ、俺の攻撃を避けたぞ。普通の人間じゃまず避けられないのに。しかも俺のことが見えているようだ。)
 天花は妖怪と呼ばれる類のものであった。昔からこの雑木林には妖怪が住んでおり、時たま迷い込んでくる人間に悪戯をしていた。しかし、最近人間が自然離れしていき、妖怪の数が減少してきていた。妖怪は自然と共に生活する人間の自然に対する畏怖や感謝が具現化したものだからだ。その人間に気持ちが薄れていくにつれて妖怪たちは自らを存在させる力すら危うくなっていた。そこで彼らはとうとう同種を喰うことで力を補うという行動に出たのだ。天花も例外ではなく、あの日に捕食活動を行っていたのだ。
(それと、あの強い妖力だ。あの妖力がする方に行ったはずなのにいたのはあいつだけだった。けれどあいつからはあの妖力は感じられなかった。)
天花はしばらく考え込んだ後、何かを思いついたといわんばかりににやりと笑った。


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あきゅろす。
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