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雅-miyavi-
Knew


うちに居る彼女は

毎朝、美味しくてバランスの良いご飯を作ってくれてて、俺の好き嫌いも把握してて。

それなのに、嫌いなものばっかり出してくる名前が俺はすすすす好きでs。


…………………

ほんとに嫌いなもの出すのはヤメテ。




「みー君!!あと20分で家から出ないと仕事に遅刻しちゃうよ!!いいの?!」





口煩いオバサンみたいな日もあっけど、それもこれも俺のため。

そう思ってんだけど、煩いって思っちゃう日もあるわけよ。










「彼女に連絡しなくて良いのかよ?」

友達と飲みに行った時。俺と名前は朝から喧嘩してて、俺も変な意地張って謝れなくて。

「べっつに良いんじゃねー?俺な〜思うねん」


酔いが回ってきた俺はヒドイ事を言った。


「アイツと俺は何で一緒に住んでんのやろ〜って」

「付き合ってるからじゃねーの?」

「なんで付き合ってるんやろ?そもそも名前が俺のこと好きかどうかも分からんし」


いつもの俺なら、少し考えれば分かることが、酔った俺には分からなくなってた。


「な〜んで名前なんかと付き合うたんかな〜。あんな口煩い女」


そう言って、俺はまたグラスを持つ。

でも、その酒は飲めなかった。







「………みー君…」



振り向けば、目に涙を溜めて、流れ落ちるのを必死に堪えてる名前がいた。


「名前…」

思わず持ってたグラスを落として、隣にいたダチの服を濡らした。


「…心配で探してみれば……みー君はずっとそう思ってたの?」

「………」



名前の顔みたら酔いも覚めちゃって。

自分が言った事を後悔する。
本当は寂しがりで脆いって事、俺は知ってたから。






「みー君の馬鹿っ」


駆け出した名前。
俺はダチに福沢さんを3枚渡し、店を飛び出した。


幸い、名前は足が遅く、すぐにでも追い付ける範囲にいた。


「名前!!」

追い付いた途端、名前を抱き締めて。

「泣かんでよ、名前」

腕の中の彼女は泣いてた。

「みー君は……あたしの、事…き、らい…だった?」
「…さっきはゴメンな。酔ってた事を理由にするんは良くないって名前に教わったけど、今回ばかりはソレが理由や。

何で名前と付き合うとるんか、なんて少し考えれば分かることやもんな。

名前が、脆くて…俺ん事をすんごい大事に思ってくれてるから色々言ってくるのも」


涙は止まったらしい名前を腕から解放する。


「朝の喧嘩も、俺が悪かった。スマン」

「あたしも…悪いから」



まだ涙が残る名前の顔。元気な時はオバサン並みにパワフルなのに、やっぱりこの子は弱いって事を気付かされる。



「さっきの事、まだ許せないようなら、俺の顔叩いても殴っても良えから」

「……商売道具の1つなんだから、大事にしなきゃダメ」


いつものペースになってきた名前。


「その代わりに」

「?」

「屈んで」


言われた通り屈む。

なんとなく、名前がしたい事はわかって、瞼を閉じた。


ちゅ



月に1回あれば奇跡ともいえる、名前からのキス。



「ありがとーな」

そして今度は俺からのキス。

チューして仲直りなんて…何処のバカップルやねん。







「お腹空いたから家に帰るよ、みー君」

「俺も腹減ったー」





fin

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